I’m the one who craves the last match
■ELLEGARDENが新曲を出した。
こんなことを言うと、別にエルレは解散なんてしちゃいないので、絶対戻ってくると信じて待っておられたファンの方には失礼だと思うんですけど、2022年になって、こんな出来事が起こるなんてこと、全く考えられませんでした。
ELLEGARDENと言えば、2008年に活動を休止したわけですが、数年前から少しずつ活動を再開させてLIVEを行ったりしていましたが、ついに新曲が出たわけですね。活動休止から、およそ14年くらいですか。熱心なファンの方は、本当に喜んでいるでしょうね、ようやく帰って来たんだ!あのエルレが!と。
エルレと言えば、自分が大学生くらいの時に一番よく聴いていました。エルレを知ったきっかけが、the pillowsのトリビュートアルバムで、【Funny Bunny】をカバーした頃だったと記憶しています。なので、割と活動休止に近い、終盤の時期でエルレを知ったんだなと、今思うと気付かされます。
僕は、ELLEGARDENを一度だけ、ライヴで見たことがあるんです。ライヴと言っても、ワンマンライヴではなく、夏フェスでエルレを見たのです。
■とても昔のことだったので、調べながら書いたのだけれど、どうやら2005年のMONSTER baSHだったようです。MONSTER baSH(以下、略してモンバス)というのは、香川県で開催されている夏フェスのことで、もう20年以上も長い歴史のある夏フェスです。
当時、僕は大学3年生でした。そこで、同じサークルの友達と3人で、このモンバスに行こうということになりました。友達の1人が車持ちで、自分が当時住んでいたところからだと、車で運転しても4~5時間はかかるんじゃないでしょうか。そんな遠い距離を、友達は運転して行ってくれました。
ちなみに僕自身はというと、前日に飲み会&オールでカラオケをした、その明くる日だったため、友達が運転する車の中でぐーすか眠るという、水曜どうでしょうの大泉洋のようなことをしてしまっていました。友達には、寝てていいよと言われたけど、あとでめっちゃ謝りました。すまん。
その年のモンバスに出たアーティスト(これもほとんど忘れているので調べながら思い出しているのだけれど)で特に印象に残っているのは、例えば、ORANGE RANGEはタオル回したりしてめっちゃ楽しかったし、Dragon AshもFANTASISTAでめっちゃ盛り上がったり、RISEや100sやthe band apartなんかもめっちゃかっこよかったなぁって、もう18年くらい前の出来事なのに思い出せます。
で、その年のモンバスに、ELLEGARDENも出ていました。僕にとっては、そのエルレを見ることが一番の目当てでした。
調べて見ると、その時のセットリストがあったので、載せておきます。
01.Supernova
02.モンスター
03.No.13
04.スターフィッシュ
05.Good Morning Kids
06.Missing
07.ジターバグ
08.Red Hot
09.Make A Wish
改めて見ると、めっちゃ盛り上がるセットリストだったんだなということがよく分かります。
最初は、3人で一つの場所に固まって見ていたのですが、最初の曲からもうフルスロットルで盛り上がって、至るところでモッシュだダイブだってのが起こって、もみくちゃにされた挙句、気がつけば3人とも人の波にもまれて、すぐに逸れてしまいました。まぁ、そのおかげもあって、僕自身は気がつけばめっちゃ最前列ら辺まで到達していましたが…。
エルレを見るというより、もみくちゃになりながら曲を聴いているという言い方の方が相応しかったですね。そういう状況で、曲がどんどん進んでいきました。そして、8曲目【Red Hot】…あの印象的な細見さんのボーカルで曲が始まります。
*
Wake me up before you leave
I've got an interview today
I wanna job so don't forget to lend me
Some for train
(家を出る前に僕を起こしてよ
今日は仕事の面接なんだ
ちゃんと仕事に就きたいんだ
だから電車賃を貸してくれない?)
*
ちなみに、この歌を聴いて「面接」を英語で”interview”と言うんだということを知りました。
この曲の時の盛り上がりは、もう最高潮でしたね。そして、この曲の時に事件は起こりました。多分、1回目のサビの時だったと思います。サビが爆発的に始まるところ、”I got the music”のところらへんでした。ライヴで起こる行為として、クラウドサーフというものがあって、要はライヴの観客の上に人が乗っかって、それを観客が持ち上げたり、ステージの前まで送ったりする行為があるんですけど、それが自分の近くで起こったりしていました。
そして、そのクラウドサーフによって、自分の上に観客が運ばれてきたのですが、その観客の足が自分の顔面に当たって…メガネが飛んでいきました。「やべぇ!」と思ったときはもう手遅れでした。何たってモッシュの波の中、すぐに見失いました。
その後は、もう何も見えない見えない笑 その見えない中、まぁ曲は聴こえてくるので、最後の【Make A Wish】とかも普通に盛り上がったりしていたんですけど、エルレが終わって、さすがにギブアップ。この日の大トリを飾った、東京スカパラオーケストラは、横の方に避難して見ていました(スカパラめっちゃよかった、隅っこで独りで踊ってました)。
ちなみに、スカパラが終わった後、友達2人が僕のメガネを探してくれました。そして、メガネは見つかりました…もう何人もの人間に踏みつぶされたであろう、ぐちゃぐちゃに曲がったメガネでした。
■決して、僕はめちゃくちゃエルレが好きで、もう復活するのをずっと死ぬ気で待っていた!という感じではないんですけど、今でもエルレは大好きで、時々聴きたくなります。やっぱり、細美さんといえば、the HIATUSでもMONOEYESでもなく、ELLEGARDENだという印象です。
(ちなみに、the HIATUSも夏フェスで一度見たことがあります。ELLEGARDENが解散した明くる年ですかね、2009年のSETSTOCKでした。ちょっと物議を醸した、「死にたいって思う時がある」みたいなあのMCをしたのを、僕は生で見ました)
そんなエルレが新曲を出すっていうんで、僕も気になったので、聴いてみました。
何でだろう、自分が若い時に聴いていたエルレの曲とは全然違うのに、あ、これはエルレの曲だ、って思いました。
■曲名は【Mountain Top】、直訳すると”山のてっぺん”となるでしょうか。
一斉に、全部の音が鳴って曲が始まるので、一気に気持ちが高ぶります。そこから、少しトーンを落として、細美さんが歌い出す、そしてまたサビで勢いを増す、って感じ、この辺は実にエルレらしいなぁって思いました。
これは個人的になんですけど、細美さんとギターの生形さんは、エルレが休止しても割りと映像で見かけることが多かったんですけど、ベースの高田さんとドラムの高橋さんは、先の2人に比べると、何となく見かける頻度が減ったような気がしていました。
だから、MVを見た時に、高田さんと高橋さんが演奏しているのを見て、何かとても嬉しかったです。特に、僕は高橋さんのドラムが好きでした。高橋さんは、本当に楽しそうにドラムを叩きますよね。
■歌詞についてなんですけど、とても印象的でしたね。何と言っても、”pirate ship”というフレーズ。
*
I’m signing it up and just slipping out
from the pirate ship that I thought was mine
(僕はサインをして抜け出そうとしている
僕のものだと思っていた海賊船から)
*
しかも、この曲の発売日が9月9日…と来れば、これはもう【No.13】を完全に意識しているのでしょう。
【No.13】という曲では、9月9日に旅立っていく”君”の海賊船を”僕”は見送る、という構図になっているのですが、個人的な想像では、ここの”僕”と”君”はどちらも、同一人物で自分自身を表わしているのかな、と思っていました。
要は、何か大きなことに挑戦していく自分を、海賊船で旅立つ”君”と表現していて、”僕”っていうのは、今までの自分を表している、という感じですかね。
で、その海賊船から”僕”は降りたということ。そして、今回の曲のタイトルが【Mountain Top】ということで、どちらかと言うと【No.13】は海をテーマにした曲だったので、この辺りも両曲で対極にあるということ。
この辺りが意味するのは、個人的には、細美さんの最後の旅の始まり、というのを思いました。海賊船で色んな所を旅してきて、最後の島に辿り着いて、山の頂を目指すという、最後の旅が始まったんだ、と。
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Give me a sign of falling water
So I can be facing the wind one last time
(荒れた空が現れるなら
俺はもう一度だけ強風に立ち向かえる)
*
*
I’m the one who wants to burn out
I’m the one who needs to find out
I’m the one who craves the last match
(俺は燃え尽きたい
俺は答えを知りたい
俺は最後の勝負を待ち望んでいる)
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こんな風に、何かやけに”もう一度だけ”とか”最後”とか、そういう言葉が目立つなぁと思ったんですけど、それは、このエルレの復活が、今までの集大成だ!みたいな感じであると思ったんです。色んなところを旅してきたけど、最後…というよりは、集大成はエルレで締めくくりたい、みたいな感じでしょうか。
何より2番では、海賊船の下りの部分で、
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All the upshots of my peculiar mind
Now it all just seems like they lost me forever
(俺の風変わりな考え方の結末は
もう分からなくなってしまった)
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とあるので、自分の音楽の終わり方みたいなものを意識し始めているのかな、とも考えました。色んなバンドをやってきて、最後の最後にまた最初のエルレに帰ってくるなんて、激熱な展開じゃないですか。
■ということで、決して昔のような、派手な曲ではなく、かなり渋めで重厚なパンクロックって感じの新曲ですが、これはこれでいい曲ですね。アルバムも作っているみたいですし、めっちゃ楽しみです。
ところで、細身さんは現在49歳なんですね。来年はもう50歳…見えないっすね。MVでもアップになるシーンが出てきますが、見えないっすね。何だろう、ミュージシャンって、歳取らないんすか?