#07 egg

***
egg itukamitaniji
あの日の夜空に 一人こっそりと
込めた願いはちゃんと 星座になったかな?
大きな海を渡る 風はちゃんと
知らない町まで たどり着いたかな?
全ての歌が 鳴り止んだ後の
舞台の上で 君は何を思うの?
小さな町で大事に 育てた卵から
いつの間にか 小さな怪物が生まれた
無邪気だった日々を 壊して回って
いい加減に旅立てよ そう言って笑った
ひとまずさよならさ それじゃまた元気で
手を振った君の目に 僕も知らない未来
魔法は解けてしまった もうじきここにも
強い風が吹いて 思い出は離れ離れ
あの懐かしい声も あの優しい歌も
宝箱に詰めたら また旅に出るのさ
魔法は解けてしまった ずっと楽しかったけど
強い嵐が来て 思い出を吹き飛ばしてく
あの懐かしい痛みも あの優しい嘘も
宝箱に詰めよう ずっと忘れないように
小さな町で大事に 育てた卵から
いつの間にか 小さな怪物が生まれた
無邪気だった日々を 壊して回って
いい加減に旅立てよ そう言って笑った
ひとまずさよならさ それじゃまた元気で
君に新しい歌を! 君に祝福を!
***
色々調べてみると、もうかれこれ15年前に作った歌だということが分かり、時が経つ早さに途方に暮れるばかりです。
この歌を作った当時は、大学を卒業してまだそこまで時間は経っておらず、社会人2年目とか3年目とかそれくらいだったと記憶しています。そういうときに、自分なりの卒業ソングを作ってみようと思い立ってできたのが、この【egg】という曲です。
僕は、大学生の時に弾き語りサークルというものに入っていたんですけど、とりわけそのサークルでの活動を懐かしく思い出しながら、自分なりにそこからの卒業という名目でこの歌を作りました。
そこから、もう15年も経ってるなんてね。でも、毎年3月のこの卒業シーズンになると、今でも色々思い出します。そういう思いを、また新たな気持ちで歌いたいと思って、この動画を撮りました。
#06 Walking Snowman

Walking Snowman itukamitaniji
雪の降る寒い日に 僕は生まれたんだ
小さな少女の小さな手から
僕の不格好な 姿を見て無邪気に笑う
彼女の笑顔に心が温まった
短い僕の首に かけてくれた縞模様のマフラー
彼女のお気に入りだったけど
今夜は寒くなるからって 馬鹿だな僕の体は
冷たい雪でできているのに
別れ際何度も 僕を振り返っては笑う
彼女が小さくなってゆく
こんな温もりは きっと僕になんて勿体ない
彼女に返さなきゃ そんな思いが奇跡を呼んだんだ
動くはずのない僕は 歩き出したんだ
小さな足跡を辿って 彼女の姿を追っ掛けた
足の無い体を引きずって
寄り道ばかりの足跡 おかげで何度もさまよった
くねくねと道は続いてく
だけど立ち止まる度に 色んなものを
僕に見せてくれる
道端に咲く花 飾り付けの立派な大きなもみの木
無邪気な笑い声の子供達 見るもの全てが僕の
心を温めて 優しい気持ちになれるんだ
雪が止んで空が 太陽を連れてやって来た
暖かい日差しを身に受けて
解け出した体 もう少しだけ崩れないで
彼女の元に辿り着くまで
どこかで目玉を 片方落っことしたみたい
霞む視界の中で
小さな足跡を辿って やっと君の家まで来れたんだよ
凍り付いた窓を叩くから ママにばれないように出ておいで
慌てて飛び出した彼女 やっとまた出会えたんだね
ありがとうこんな僕にも 温かな心をくれて
すっかり解けてべちゃべちゃな 僕を一度だけぎゅっと抱きしめた
彼女の温もりで解けてく さっきまではあんなに
解けたくないと願ってたけど 今は心地良い
その温もりで いっそ全部解かしてよ
***
この曲を作ったのは、もうかれこれ16年も前のことになります。もうそんなに時間が経ったんだなと、(勝手に)思い知らされるばかりです。
高校生くらいのころから、”詩を書くこと”に興味があって、それが結構自分にとってのライフワークになっていました。ギターが少し弾けるようになってからは、歌を作ってみたり、詩からもっと広く、エッセイや小説のようなものを書いてみたりして、これでも結構頑張ってたんです。
この曲を作った当時は、”詩を書くこと”に特に興味があった時期で、社会人をやりながら、誰が見るわけでもない、誰の目にも止まるわけでもないのに、ネットで自分の詩を発表してみたり、自分の書いた詩を出版社のコンテストに送ってみたりもしていました。
出版社が開催するコンクールには、テーマみたいなのがあったりするんですけど、当時どこかの出版社のコンクールで、”絵本のストーリー”を募集してたことがあったんです。自分も書いてみようかな、ということで書いた詩が、この【Walking Snowman】でした。
どうだったか…結局この詩をコンテストに送ったのか、それとも送らなかったのか、よく覚えていないのですが、とにかくこの詩は、自分が絵本のストーリーを作るんだったら…という想像の元で書いたことがきっかけでした。
結局は音楽がついて、絵本というより歌になってしまいましたが、こういうストーリー性のある歌も、BUMP OF CHICKENとか、amazarashiとか、(あんまり知られてないかもですけど)ウラ二ーノとか好きなので、まぁ良いかなと。割と自分の中でも気に入っていた曲だったので、例のごとく、古い曲を新しいギターでカバーしようシリーズの一環として、セルフカバーしてみました。
#05 金曜日、ファミレスにて。

金曜日、ファミレスにて。 itukamitaniji
カラカラと音を立てた 冷えたグラスから
水滴がしたたって テーブルに水たまりを作ってる
さっきから僕の愚痴は 止まらなくなってる
うだるように続いてる この夏の暑さみたいに
吐き出せども 吐き出せども
心は空っぽにならないまま
行き場のない 想いがいつも支えている
大げさに広げただけの 山積みの問題も
放り出して どこか遠くへ行ってしまいたいけれど
埋め尽くせど 埋め尽くせど
そのくせ言葉は足りないまま
余白の海を するりと逃げていく
気が付くと君は 寝息を立てている
書きかけのルーズリーフに 顔を突っ伏して
僕の話なんかまるで聞かないで
擦り減らせど 擦り減らせど
心は案外失くならずに
いつだって 君の味方で居てくれるよ
だから
追いかけても 追いかけても
今は届かない夢でも
いつかふさわしい未来で 君を待ってる
***
一応、夏の歌のつもりです。
2025年の9月も、もう終盤に差し掛かりつつありますが、相変わらず暑い日が続いているので、ぎりぎり夏に間に合ったということで!
この歌のモチーフは、もうかれこれ10年前くらいの話になります。
その頃の自分は、それまでやっていた仕事を辞めた後で、次に就きたい仕事は決めていたのですが、だからって、すぐにその仕事に就くこと…正確には言い方が難しいですが、”自分の望むような形で仕事がまださせてもらえない”という状態で、何て言うか”仕事”と”勉強”の中間のような日々を過ごしていました。
そういう日々の中で、毎週金曜日の仕事終わりに、ファミレスに行って、当時同じような状況にあった仲間と2人で勉強をする、というのが日課になっていました。仕事(のようなもの)をしながらだと、なかなか日々の中で勉強がしにくいだろうということで、せめて金曜日の仕事終わりだけでも時間を作って勉強会をしようと決めていました。それぞれ勉強道具を持ち込んで勉強をして、飽きたら少し話をして、またそれぞれの勉強に帰る、腹が減ったら飯を食べる、みたいな感じでした。
確実にあの頃があったから、今の自分があるのだと、そういうことを感慨深く思い出しながら、この歌を作りました。あの頃の僕と仲間へ向けて、そして、今同じような境遇にある人がもしも居るならば、あなたへ向けて。
#04 ペトリコール

ペトリコール itukamitaniji
思いがけなく 夢は破れて
それでも日々は巡って続いていく
泣けやしないのに 笑えもしなくて
ただぼうっと空を眺めていた
どんな風にして 納得したらいい
何かのせいにできるなら楽なのに
平気なフリして 取り繕っても
あなたに掛けた言葉 正しかったのか
今になって自問自答を繰り返してる
どうしても 煮え切らない気持ち
胸に抱えたままで 立ち尽くしていたんだ
涙も出ずに 乾いた心を濡らすように
曖昧な空よ もういっそ
雨よ降ってしまえ 雨よ降ってしまえ
手紙ありがとう あなたの方こそ
本当は悔しかったはずなのに
僕の方が 勇気をもらってしまった
返す方法もないのにさ
できるだけ 人の悲しみも
自分のことのように 思えたらいいのに
あなたのような 優しい人が
報われるような そんな世界であれと
ただ願ってみるよ
見上げると 空の広さに
自分の居場所さえも 見失いそうになって
わけもなく 虚しい気持ちに
押しつぶされてしまいそうな時は
思い出すよ あなたがくれた
小さな勇気を胸に そっと抱きしめて
あがいてみるよ まだ曖昧な
僕の心のような空の下
雨の匂いがする 雨の匂いが降る
***
素人がこんな話をしても、という感じなのですが…
僕自身は、曲を作る時は、ほとんど歌詞からの場合が多いんです。いわゆる、”詞先”というんでしょうか。歌もギターの腕前も全然ない自分が、それでも自分らしさを表現できるのが、詞の部分だということだと思います…多分。
そこで、この【ペトリコール】という曲についてですが…これは、先にメロディーが出来上がっていました。”詞先”に対して、こちらは”曲先”ということになるんでしょうか。
こういう場合は、曲を作ろうとした時に、長考することが多いのですが…例のごとく、この曲もそうでした。おそらく、2、3年くらいはこのメロディーが頭の中にあって、このメロディーに合うような歌詞を、ずっと模索していたような気がします。
そうして長く考えた末に、ここのブログでもちょっと紹介したことがあったのですが…なかなか詳細は語れないのですが…2025年3月11日の記事で少し触れた、”ここ何年かで一番嬉しいことがあったと同時に一番悲しいことがあった日”のことを歌詞として書いてみよう、と思い立ったんです。
きっと、自分自身が一番悔しい想いをしただろうに、そんな自分の悔しさを押し殺して、逆に僕の方に勇気をくれた。何か、すげぇ申し訳ないのですが、せめてその人の未来が、楽しく充実したものになるように、そう願ってこの歌を作りました。
#03 プラネテス

プラネテス itukamitaniji
あれは遠い日のこと 僕らは真夜中に
街を抜け出して 綺麗な海へと出かけた
満天の星空に 僕らただ黙り込んで
何処にも居なくて 誰でもないフリをした
流れ星見つけたよ 指差す暇も無く
生まれた刹那に すぐに消えてった
もう輝かない石ころは 海へと放って
新しい星になった それは誰にも見つけられない
六等星の秘密のポラリス 君だけが位置を知っている
あれは遠い日のこと それぞれの旅に出た
何処にも隠れれず 僕は僕になった
流れ星気付かない 見上げる暇も無い
生まれた意味は すぐに見失うのさ
だからこそ輝くのさ 誰かに見つけてもらいたくって
誰もがきっと彷徨うプラネテス 自分と言う名を与えられて
失った記憶もちゃんと 長い旅を越えて此処にある
六等星の秘密のポラリス 君だけは位置を忘れないで
君だけは位置を忘れないで
***
この曲を作ったのは、もう14年くらい前になりますが、例のごとく、新しいギターを買ったので、新たな気持ちで歌ってみようシリーズの一環です。
当時、同タイトルの漫画「プラネテス」に感銘を受けて、タイトルだけ拝借しました。ただし、歌の内容は、全く漫画とは無関係で、”プラネテス”という言葉の響きと、この言葉の意味…英語で、惑星を意味する”planet”(プラネット)の語源にもなっている、ギリシャ語で惑う人々という意味の”ΠΛΑΝΗΤΕΣ”、”PLANETES”(どちらも読みはプラネテス)が気に入って、このタイトルで曲を作ったらどんな曲ができるだろうと思ったのがきっかけです。
まぁそれでも、この曲を作るのに、強いて内容に感銘を受けたところがあるとするならば、”月の海”についての話があります、特に好きなエピソードの1つです。とにかく、漫画「プラネテス」めっちゃおすすめなので、良かったら読んでみてください。4巻という短さで、パキッと終わるのも潔くて良いです。でも、満足感は半端ないです。
曲についての話ですが…冒頭から1番にかけての、海に出かけたエピソードは、僕自身の実体験が元になっています。
大学生の頃、居酒屋でアルバイトをしていたんですけど、バイトが終わって、もう12時を回っていたと思うんですけど、事務所みたいなところでバイト仲間4人でしゃべっていただけのはずが、誰が言い出したか、どういうわけか海を見に行こう!みたいな話になり、実際にド深夜にも関わらず、海へと出かけたんです。
この歌を作った頃は、もうすでにそんな大学時代も過ぎ、社会人として働いていたので、その頃を懐かしく思い出しながら、作ったのを覚えています。
誰もが日々に願い求め 失望しては希望を抱く 例えばきっと それが素晴らしい世界
■SUPER BEAVERが結成20周年を迎えました。
正確には、SUPER BEAVERは2005年4月1日に結成されたようなので、結成20周年の記念日を過ぎて、リアルタイムでは20日くらいが経っています。僕自身も割と前から知っているバンドのひとつなのですが、もうそんなに時間が経ったのか、と驚くばかりです
ということでその記念に、今回の記事ではSUPER BEAVERを語ってみたいと思います。
■僕が初めてSUPER BEAVERのことを知ったのは、2010年のことでした。だから、バンドが結成されて5年目の頃ですかね。
まず、当時『ソラニン』という映画が上映されていました。ちなみに、この『ソラニン』は元々は浅野いにおさんによる漫画なんですけど、それが実写映画化されたものでした。
僕は、(確か)この映画『ソラニン』の予告動画みたいなものを見て、「何か面白そうだな、見に行こう」と思ったんですけど、「先に漫画読んでおくか」と思い立って、そこで初めて漫画『ソラニン』を買って読んだんです。2巻で完結するという短い作品だったので、さくっと読めました。
(※これ以降、ちょっと漫画・映画『ソラニン』のストーリーについて触れます。めっちゃネタバレ、というわけではないですが、一応伝えておきますので注意してください!)
『ソラニン』の物語を雑に少し説明しておくと、大学生~社会人はじまり辺りの時期を、バンドの活動だったり、恋愛や人間関係だったり、仕事の悩みやモラトリアムなどを絡めて描いた物語になっています。大学を卒業して、就職はしたけど、でも自分の夢でもあったバンド活動を諦めることができなくて…みたいな、そういう葛藤などが描かれていて、別に僕はバンドマンを志したことはないけれど、当時の自分も割と社会人成りたてだったこともあって、何となく心を掴まれたことを覚えています。
ということで、いざ映画を友達と見に行きました。主演は、宮崎あおいさんと高良健吾さん、特にあの時代の宮崎あおいさんが本当に好きだったので(この頃は、特に神がかり的にかわいい)、それも見に行きたいと思ったきっかけのひとつではありました。
先述の通り、漫画をしっかりと読んでいたため、ストーリーで目新しいことはなかったですが、漫画で描かれていたシーンが、どんな風に実写化されているのかとか、そういう目線で見ると、全然楽しめました。
また、漫画の実写化というと、(今でも)そこまで期待しているわけではないですけど、『ソラニン』に至っては、原作が2巻という短いお話であることや、割と物語自体が潔くしっかりとしていることなどが相まって、この実写化は成功だったのでは、と思っています。
■さて、『ソラニン』の物語ですが…もちろん、色んな話が複雑に絡まって物語ができてはいますが、軸にあるのは、”Rotti”という名前のロックバンドのお話です。
で、タイトルになっている”ソラニン”なんですけど、元々の意味は、じゃがいもの芽などに含まれる毒のことです(この辺りのことも、割と意味があるんですけど、今回は割愛します)。
ただ、この作品での”ソラニン”は、ロックバンド”Rotti”が作った楽曲として出てきます。漫画では、もちろん音がついていないので、歌詞だけが載っているのですが、そこでこの映画化に際して、ちゃんとメロディーがついて、楽曲【ソラニン】として物語に出てきます。
歌詞については、漫画の原作者である浅野いにおさんが書いたものですが、作曲をしたのは、ASIAN KUNG-FU GENERATIONの後藤さんです。映画で、Rottiが演奏している【ソラニン】が出てきますが、普通にASIAN KUNG-FU GENERATIONが自分たちの楽曲としても発表しています。
映画が終わった後、僕自身も楽曲【ソラニン】を気に入って、その足でCDショップに行って、アジカンの【ソラニン】のCDを買いました。ちなみに、僕は【ソラニン】よりも、シングルのカップリング曲に入っている、映画のエンディングテーマの【ムスタング(mix for 芽衣子)】が好きなんですけどね。もちろん、【ソラニン】も(今でも)めちゃくちゃ好きです。
■映画の中で、RottiのLIVE映像が重要なシーンとして描かれ、もちろんその中で【ソラニン】が演奏されるんですけど、断片的に描かれるシーンの中で、Rottiが違う曲を演奏しているシーンも差し込まれます。すごい短いシーンなんですけど、映画を見た後もそのシーンとその歌が、自分の心に残っていました。
それで調べてみると、その歌がSUPER BEAVERの【ささやかな】という曲であることが分かりました。SUPER BEAVERというバンド名を知ったのは、この時が初めてでした。そして、その【ささやかな】という曲が、同バンドの名前を冠したミニアルバム『SUPER BEAVER』に収録されているということで、その作品を手に取って、初めてSUPER BEAVERの音楽に触れました。
映画でのRottiの演奏も、もちろんかっこよかったんですけど、やっぱり本家の【ささやかな】は、その何倍もかっこよかったです。楽器隊の演奏もめっちゃかっこよかったんですけど、やっぱりボーカルの渋谷龍太の声に、一気に引き込まれて、SUPER BEAVERに一気にはまっていきました。
■色々と調べていくと、このミニアルバム『SUPER BEAVER』という作品自体が、SUPER BEAVERにとって、とても重要な作品であることが分かりました。というより、SUPER BEAVERが辿ってきた音楽人生は、順風満帆…というわけではなかったということが分かりました。
(↑一番そのストーリーが分かるのが、この辺かな。僕自身は、何かもっと別のを読んで知ったような気もしますが、見つからなかった)
自分が理解している範囲で、簡単に要約しておくと…
高校生の時に、現メンバーが集まって、バンドが結成される
(そこからメンバーが変わってないってのが良いね)
↓
大きなバンドの大会で、グランプリを受賞する
↓
本格的にロックバンドとして活動を始め、何やかんやあってメジャーデビューする
↓
が、オトナたちにバンドを好き勝手にされ、自分たちの音楽を見失ってしまう
↓
メジャーを離れる決意をする
みたいなことが、最初の頃にあったらしいです。で、このメジャーを離れるときに、「最後に自分たちの思うように作ってごらん」と言われて作られた作品こそ、バンド名を冠したミニアルバム『SUPER BEAVER』だったそうです。
自分が出会ったのは、そういう頃のSUPER BEAVERだったようです。その頃には全く知らなかったんですけど、そういうことがあったんだと、後に知ることになりました。
そういう経緯があったと知ったから、なおさら感じるというところもありますが、このミニアルバム『SUPER BEAVER』から、一番SUPER BEAVERの魂を感じるんです。
■SUPER BEAVERの魅力は?と問われてば、もちろんメンバーの演奏も素晴らしいものがあると思うし、渋谷さんのボーカルもめちゃくちゃ好きなんですけど、個人的に思う一番は、SUPER BEAVERの楽曲から感じる”言葉の力”だと思っています。
やっぱり歌って、”言葉”だと思うんです。極端に言うと、”歌”=”言葉”だと、僕はずっと思っています。心の底から伝えたいことがあって、それが言葉になって、そしてそれに”たまたま”メロディーがついたのが”歌”なのだと、そういうことですよね。
そういう意味でいうと、SUPER BEAVERは本当の”歌”を歌っているバンドだと思っています。何か、最初にSUPER BEAVERに出会ったときの衝撃は…音楽のジャンルとしては違うかもしれないけど…高校生の時に、THE BLUE HEARTSの音楽に出会って感じた衝撃に似ていました。言葉の強さ、ボーカルの強さに圧倒されて、身体に電気が走るような感覚でした。
個人的には、(1回目の)メジャー最後に発表されたミニアルバム『SUPER BEAVER』、その後のインディーズの[NOiD]時代に発表された作品たち…特に、アルバム『未来の始めかた』『361°』の3作品が一番好きな作品です。
じゃあ、今でも、同じ気落ちでSUPER BEAVERを追っているか…と言われると、まぁその頃とは変わったかな、というのが正直な言葉です。個人的には、見た目も上記の時代の彼らの方がカッコいいと思うし、歌に関しては相変らず熱い想いを感じるんですけど、これも上記の時代の方が、何て言うんだろう、押しつけがましくなかったというか、自分にとってちょうど良かったというか、歌詞のメッセージ性も、これも確かに熱いものはあるんだろうけど、使い古されて単調に聞こえるというか…何かうまく説明できないけど、そんな風に感じています。
■ということで、最新作ではなく、今回は一番好きな作品『SUPER BEAVER』を取り上げて、最後にちょっと話をしたいと思います。
先述の通り、この『SUPER BEAVER』という作品を知ったのは、映画『ソラニン』を見てから、【ささやかな】という曲が収録されている作品だったから、というのが理由でした。
もちろん、【ささやかな】という曲は紛れもない超名曲なんですけど、その他にもこのミニアルバムには良い曲がたくさん…というより、どの曲もめちゃくちゃカッコいい曲になっています。
出会ったきっかけになった【ささやかな】はもちろんめちゃくちゃ好きだし、1曲目に入っている【ヒカリ】もめちゃくちゃ気分上がるし、本当に自分の人生のテーマソングにしたいくらい【まわる、まわる】とかも良い曲なんですけど、今回は一番好きな曲として、【空の彼方】という曲を紹介します。
この【空の彼方】という曲は、メンバーが『ソラニン』にインスパイアされて作られた曲だそうです。
ここからは推測なので、全く違っていたら「すめん」なんですけど、【ささやかな】という曲が『ソラニン』の劇中歌に採用はされましたが、別にこれが作品『ソラニン』という作品について歌われた歌だということではないのだと思います。それよりも、ライヴハウスで歌われているカッコいい楽曲、という役割の方が強くあるのだと思っています。
そこで、SUPER BEAVERは、『ソラニン』という作品を知ったことでインスパイアされて(意味:触発される、感銘を受ける)、その作品に対するアンサーソング(?)みたいな形で、【空の彼方】が作られたのかな、と想像しています。
だから、『ソラニン』のテーマソングとしては(もちろんアジカンの【ソラニン】はあるとして)、【ささやかな】よりは【空の彼方】の方により想いが込められているのだと想像しています。
そういう風に想って聴いていくと、この【空の彼方】は、まさしく『ソラニン』という物語そのものを表しているなぁと感じることができます。
*
遠く記憶をたどれば 僕が僕を裏切っていたこと
幾つもあって嫌気がさして 笑えなかった
*
*
僕が僕を許そうとして 嘘と手を繋いだとする
そのうちきっと 過去も未来も失って
今まで君と交わしてきた 言葉まで嘘になっていく
*
この辺りは、音楽活動を本格的にしたいのに、それをごまかしながら生きていた、『ソラニン』の主人公・種田の心境を読み取ることができます。
*
見て見ぬふりしてた 矛盾だらけの僕が
今君の瞳から 溢れ出した
*
*
僕が僕を守ろうとして 知らず知らずに離してた手
笑顔の奥の 悲しみさえも気付かずに
*
ここら辺は、種田の恋人の芽衣子のことを歌っているところでしょうか。自分ではなく、芽衣子を通じて、種田が本当の自分の気持ちに気づく、取り戻していく、というところに繋がっているようです。この”知らず知らずに離してた手”という言葉も、物語を知ると重要な言葉なのだと感じることができます。
そんな風に、種田の葛藤を中心に、この歌では描いていると考察できそうですが、歌が進むにつれて、その葛藤から力強い決意や希望が生まれていくところも読み取ることができます。
*
例えば過去と未来と今 無理やりに繋がなくてもいい
作り笑いで回る世界にさよならを
*
*
誰もが日々に願い求め 失望しては希望を抱く
例えばきっと それが素晴らしい世界
ほら夜が明けるよ もうさよならなんだ
*
もうこの辺りが、『ソラニン』という物語の根幹なんだと思います。
そして、これも憶測が強いですが、ここの歌詞については、SUPER BEAVER自身の想いも投影されていると思っています。
”作り笑いで回る世界にさよならを”
とはまさに、希望を持ってメジャーデビューをしたは良いけど、オトナたちに良い様にバンドを使われて、その世界から決別を決意した当時のSUPER BEAVERの想いを読み取ることができます。
”誰もが日々に願い求め 失望しては希望を抱く”
”例えばきっと それが素晴らしい世界”
この辺りが当時のSUPER BEAVERが行き着いた答えだったのでしょう。希望を胸に音楽活動を続けたからこそ、失望したこともあったと。それは、逆説的に言えばつまり、失望するのは希望を抱いているからだと。
そして、そんな風に、”失望”と”希望”が入り混じるような世界を、”素晴らしい世界”だと歌っています。
いやぁ、すごいよね、ここの言葉の力強さは。僕自身にとっても、自分の人生訓にしたいくらい、心に刺さる言葉です。
■何度も言うように、”歌”=”言葉”なんだと思っています。本当の”歌”がこれでもかと詰まった、『SUPER BEAVER』という作品です。もう一生の道標になるであろう、自分にとって、大切な作品の一つです。
#02 虹が出るかもしれない

虹が出るかもしれない itukamitaniji
大嫌いな数学の宿題もそっちのけで
雨を眺めていた 頬杖をついて
身体は確かにここにあるのに
心はどっかへ行ってしまったみたいだ
そう言えばあの日もこんな雨だったっけ
逃げ込んだ屋上で ふたり雨宿り
打ち明けてくれた君の夢の話は
とても眩しくて目を伏せてしまった
吹奏楽部の練習をBGMに
書き進めていく 物語はやけに
君との思い出ばかりを詰め込み過ぎて
何だか嫌気がさすけれど
君と居た日々が 普通の日々に
飲み込まれてしまわないように
私は今日もペンを走らせる
追いつかれないように 必死なの
チャイムの音でふと我に返った
独りの教室 静まり返って
懐かしい君の笑い声だけが
やけに頭ん中ずっと響いていた
言葉にすることさえずっと怖くて
胸にしまっていた 私の夢の話を
君だけは真面目な顔で聞いてくれて
そして少し笑ってくれた
君にもらった勇気だから
何よりも大切で 温かい
だからそれに恥じないように
私は私らしく生きなくちゃ
気がつけば雨も上がっていて
私は急いで 屋上へ駆け上がる
すごいスピードで雲が流れていく
独り見上げた空に 目を凝らして探した
私の未来みたい 予想なんて出来やしない
微かに空いた雲の隙間
虹が出るかもしれない
***
この曲も、前回アップした曲と同様、”新しいギターを買ったのでもう一回歌ってみよう”シリーズです。曲自体は、もう何年も前に作ったものです。
自分が、とりわけ詞を書く時にたまにやるのが、「自分が好きな漫画や映画の”架空の”主題歌を作るとしたら…」というのがあります。
この歌詞についても、とある映画の主題歌を作るつもりで作ったものです。タイトルの「虹が出るかもしれない」というセリフが、その映画の中に実際に出てきます。

