真っ赤な林檎を カプリとかじった八重歯の痕が ズキズキ キラキラ

HATA EXPO -The Collaboration Album- (通常盤)

【ringo / 秦基博草野マサムネ

 

■当然のことながら、人によって”憧れを持つ人物”は違うものだと思います。自分が打ち込んでいること…スポーツや趣味や仕事など、自分が興味を持っていることを極めている上級者やプロの方などに、結局気持ちが向くことが多いのだと思います。

 

僕自身も例外ではなく、例えば僕は歌うことが好きなので、必然的に歌を歌うことが上手な人には憧れを示します。まぁそもそも、自分と比べること自体が、その方々に失礼ではありますが…。

 

例えば、以前の記事で紹介したB'zの稲葉浩志さん。
高い声が出るとか、音程を外さないとか、パワフルだとか…色々うまい要素を兼ね備えていますが、ボーカリストとしてとてもストイックな方だということは有名ですよね。自分の中で、子どもの頃に熱心に聴いていた頃から、やっぱり他の歌手とは一線を置いて特別なボーカリストだなと思っていました。

 

例えば、コブクロのお二人。特に、黒田さんの声が好きです。
大学の時、音楽のサークルに入っていて、時々コブクロもカバーしたりしていたのですが、それが縁でコブクロもハマって聴いていた時期がありました。

 

例えば、女性ボーカルだとSalyu
いつか、Salyu単体でも記事を書きたいと思っているのですが、女性ボーカルだと一番好きなボーカリストですね。小林武史さんをして、「天に向かい地に響く声」と評される、まさに天性の歌声です。

 

例えば、藍坊主のhozzyさん、MARSBERG SUBWAY SYSTEMの古川貴之さん、元NICO Touches the Walls・現ZIONのボーカルの光村龍哉さん、PRIDOTSのタカハシコウキさんなど…

 

言い出せばきりがないですけど、自分が好きなボーカリストがたくさんいます。

 

そういう括りの中でも、一番好きなボーカリスト…自分がこういう声になりたい!とダントツで憧れるボーカリストが、スピッツ草野マサムネさんと、秦基博さんです。

 


スピッツは、別ブログ”スピッツ大学”を見てもらうと分かると思いますが、僕が小学生の時にハマって、それ以来ずっと聴いてきたので、もちろん大好きなんですけど、今となっては…何ていうか、別にスピッツばっかり聴いているわけでもないですが、色んなアーティストの音楽をたくさん聴いても、結局ここに帰ってくる、原点というか実家というか、そういうものになっています。

 

一方の秦基博さんも、これは僕が大学生の時に、確か世に出てきて話題になったと記憶していますが、その頃に聴いた時にはもうすでに、「ああ、良い声だなぁ」と感動していました。

 

自分にとっては、【鱗】が強烈に残っていて、”鋼と硝子で出来た声”と評される彼の、時に力強く・時に繊細で美しい歌声にそれから魅了され続けています。そこから、秦基博さんの音楽も、何だかんだずっと追ってきました。

 


■そんな、自分にとって憧れのアーティスト…スピッツ草野マサムネさんと秦基博さん…このお二人のコラボレーションが、今回なんと実現したんです!

 

ちょっと詳しく話をしますと、秦基博さんは2024年11月20日に、初のコラボレーション・アルバム『HATA EXPO -The Collaboration Album-』を発表しました。

 

その名前の通り、コラボレーション・アルバムということで、その収録曲のすべてが、秦基博さんと他のアーティストのコラボレーション楽曲になっています。収録曲を紹介しますと、以下の通り↓

 

01.秦 基博×草野マサムネ 「ringo」
02.秦 基博×sumika 「ハローサーリアル」
03.秦 基博×TOMOO 「青葉」
04.秦 基博×又吉直樹 「ひとり言」
05.秦 基博×リサ・ローブ 「Into the Blue」
06.秦 基博×ハナレグミ「No Where Now Here」
07.back numberと秦 基博と小林武史reunion
08.土岐麻子 & 秦 基博 「やわらかい気配」
09.ストレイテナー×秦 基博 「灯り」
10.KAN+秦 基博 「カサナルキセキ」

 

youtu.be

 

しかも、収録されている楽曲は従来からあった曲ではなく、全てちゃんとコラボレーション用に作られた曲になっています(既発曲はありますが)。ラストに、2023年に亡くなったKANさんとのコラボレーション楽曲【カサナルキセキ】が入っているのも、何か胸に来るものがあります。

 


…という風に、付け焼刃的にアルバムを紹介しているんですけど…すみません、実際は1曲目の秦 基博×草野マサムネ 「ringo」しか、ダウンロードして聴いていません。やっぱり、自分が大好きな草野さんとのコラボレーションはどうしても気になったので、これだけ真っ先にダウンロードして聴いています。

 

ということで、この【ringo】という楽曲だけでも、自分なりに少し紹介してみようと思います。

 

ringo

ringo

  • 秦 基博 & 草野 マサムネ
  • J-Pop
  • ¥255
  • provided courtesy of iTunes

 

 

■改めて、【ringo】という曲は、秦基博さんとスピッツ草野マサムネさんのコラボレーション楽曲になっています。

 

そこで、これは全く個人的に思ったことなんですけど、秦さんと草野さんのコラボレーションということで、僕はもっとアコースティックな楽曲をイメージしていました…というより、期待していたという言い方の方が正しいかもしれません。

 

だから発表された曲を聴いた時に、良い意味でも悪い意味でも、その期待を裏切られました。悪い意味で言えば、単純にもっとアコースティックな曲が聴きたかったなという気持ちがあって、良い意味で言えば、その意外性に驚いたという点でしょうか。

 

ただ、冷静によく考えてみると、こういう突き抜けた明るさを備えた曲…それはもう”かわいい”という形容詞がひっつくまであるような楽曲を、おじさん2人が歌ってもちゃんと成立しているところが驚きですよね。ちなみに2024年現在、秦さんは44歳、草野さんは56歳…足したらちょうど100歳じゃん!チーム・ハンドレッドとでも名付けましょうか笑

 

何ていうか、大人2人が音楽で本気で遊んでいる感とでもいいましょうか、どこまでも自由で、それでいてちゃんと成立していて、しかもしっかりお二人それぞれの個性も感じられる、素敵なコラボレーションになっています。

 

スピッツでも、最近の曲では、単純なバンドサウンドにプラスアルファされたような曲も多くなってきましたが、それでも【ringo】はスピッツの楽曲には決してないような、派手さと自由さを感じる曲になっています。やっぱりロックというより、これはポップミュージックですね。この辺はやはり、秦さん作曲によるところが大きいんですかね。

 


■そして、一番自分が気になっていたのは、作詞作曲はどうなっているんだろう?というところでした。

 

クレジットを見てみると、作詞:秦基博草野正宗、作曲:秦基博、となっています。確かに、そう思って聴けば、メロディーの方は、スピッツっぽくない(つまり草野さんっぽくない)感じはします。うまく説明はできないですけど、この辺は長くスピッツを聴いてきた僕自身の勘もありますが、クレジットを別に読まなくてもスピッツっぽくない気はしていました。

 

一方の歌詞については、これは個人的には、草野さんっぽい気がしていました。

 


しょぼい人生のありふれた遊歩道で
巡り会ったんだ 珍しい光に

 


壊れそうにシャイで 強がりなココロが
選び取ったんだ 楽じゃない誘惑も

 

この辺りは、何となく草野節のような気もしますが、どうなんでしょうかね。


…と思って聴いていたのですが、どうもAメロの歌詞(上記の歌詞など)は、秦さんが作ったみたいですね。全部がそうであるかは分かりませんが、でも”しょぼい”とか”珍しい光”とか、結構草野さんがチョイスしそうな言葉だなぁと思っていたので、秦さんが作ったとなると、意外ですよね。

 

ただ、歌詞のストーリーとしては、結構草野さんの世界観によるところが大きいような気がします。

 

スピッツの楽曲で言うと、【恋する凡人】とか【恋のはじまり】とか、何ていうかボーイミーツガール系の物語とでも言いましょうか。要するに、”しょぼい人生”が恋愛の力によって、キラキラしたものに変わっていく様子を描いた歌詞になっています。

 

そして、”林檎”という歌詞が出てくるサビの部分…

 


真っ赤な林檎を カプリとかじった八重歯の痕が
ズキズキ キラキラ
Darlin' Darlin' きいてよ 最初で最初のことば 二文字だ
はち切れそうだ ハートが
笑っちゃうくらい 高鳴ってる

 

もうどこまでも、かわいらしい歌詞ですね笑 ”カプリ”とか、”ドキドキ”や”キラキラ”など、こういう擬音を多用するような曲は、草野さんの歌詞であるならば、珍しいような気がしますが、どちらが書かれた内容なんでしょうね。

 

ただ、サビを読んだ限りだと、曲名にもなっている”ringo”(林檎)とは、おそらくこの歌で恋に落ちた主人公の心を表していて、恋に落ちた様子を、”カプリとかじった八重歯の跡が ズキズキ キラキラ”という風に表現されているんだと思います。こういう歌詞の感じ…恋に落ちたことを、直接表現するのではなくて、何か別のものに置き換えて歌うようなことは、結構草野節だと思うんですけど、どうなんでしょうね。

 


■そして、やはり素晴らしい、二人のボーカルのコラボレーション。これについては、ただただ感動でしかないです。もう、耳が幸せです。

 

まるで掛け合うようにAメロは交互に歌っていたり、サビでは一方が主旋律を歌って、もう一方がハモるという贅沢なアプローチ…と思っていたら、ところどころユニゾンしているところもあったりして(最後のサビとか)、面白いです。

 

個人的には、決して2人の声質は似ているとは思わないんですけど、だからこそ2人のボーカルがそれぞれを引き立てていて、めっちゃ聴き心地が良いです。

 

youtu.be

 

そして、かわいらしいけど、謎MVです。スピッツファンからしてみると、林檎と女性となると、【遥か】のMVを思い出させますが、その辺りどうなんでしょう。

うたえる それでも夜明けがくることは うたえる それでも君のそばにあるうたは

see you, frail angel. sea adore you.

『see you, frail angel. sea adore you / Homecomings』

 

01. angel near you
02. slowboat
03. Moon Shaped
04. blue poetry
05. luminous
06. ghostpia
07. recall (I’m with you)
08. (all the bright places)
09. torch song
10. Tenderly, two line
11. Air
12. kaigansen

 


■思えば、Homecomingsも自分の中で長く聴き続けているアーティストの一つになりました。

 

僕がHomecomingsを知ったのは、【I Want You Back】という曲がきっかけでした。どういう経緯でその曲を知ったのかはよく覚えていないけど、おそらくYouTubeで偶然見つけたこの曲を聴いたのだと思います。それで、何か自分に引っ掛かるものがあって、そこからHomecomingsを聴くようになりました。

 

【I Want You Back】は、2014年くらいに発表された曲なので、もうかれこれ10年以上もHomecomingsを聴いていることになります。何かもう、おじさんにとってはこの辺は時間の感覚がバグっていて、Homecomingsを知ったのはごく最近のことのように感じているんですけど、それがもう10年も経っているなんて、つくづく時間の流れの早さを感じます。

 

youtu.be

 

 

■最初にHomecomingsを聴いていた頃は、割とポップで明るい感じの曲を歌うバンドだという印象を持っていました。パワーポップ?ギターロック?何か、そういう感じで表現されるジャンルでしょうか。

 

また、Homecomingsの音楽の特徴として、全編英語詞の曲を歌うバンドだったんですけど、ボーカルのその英語の発音が、カタカナで書いてある英語をそのまま読んでいるだけの棒読みな感じで、個人的にはそういう力の抜けた感じで、独特なゆるさを醸し出していたボーカルは、これはこれで好きだったんです。

 

ただ、そこから時が経ち、2018年にHomecomingsは3作目のオリジナルアルバム『WHALE LIVING』という作品を発表したんですけど、この作品からHomecomingsは、これまでの英語歌詞で歌うということを止め、全編日本語の歌詞の曲が基本になっていきます。

 

余談ですが…

 

2018年のことなので、もうかれこれ6年くらい前の話なんですけど、僕は先述のアルバム『WHALE LIVING』を、タワーレコードで買ったんです。その時に、アルバムを手に取って、レジに持って行ったときに、接客してくれた店員さんが話かけてきたんです。

 

 

店員さん「Homecomings良いですよね!僕も好きなんですよ!」

 

僕「あっ、そうなんですか!」

 

僕「いやぁ、今回のアルバム、全部日本語歌詞で作られてるんですよね」

 

店員「そうですね。でも、それが良い感じでしたよ!」

 

 

みたいな、もうだいぶ前のことなのでよく覚えてはないけど、こういう会話を店員さんとすることができたんです。特に、日本語歌詞のことについて、話題を出してみてもちゃんと食いついてきたので、この店員は本当に好きなんだということが分かって、ごく短時間でも話ができてうれしかったです。

 


■個人的には、この方向性の転換については…大賛成でした。

 

これは全く個人的な好みなんですけど、純正の日本のバンドなのに、英語詞で歌を作り歌うバンドに、いつからかあんまり興味を示さなくなっていました。もちろん例外もあって、ネイティブと何の遜色もないくらい英語が上手な細美さんのバンドとか(特にELLEGARDEN)、めちゃくちゃカッコいいと思っているんですけど、それ以外ではあえて英語詞の歌を選んでは聴かなくなりました。

 

その理由はとても単純で、僕自身が、歌詞を読みながら「これはどういう歌なんだろう?」って、色々と想像しながら聴くのが好きだからです。

 

英語詞の歌を聴いて、簡単な英語であれば分かったとしても、一旦頭の中で日本語に変換するというアクションが余計に必要だし、全体としては意味が簡単には入ってこなくて、結局は和訳を読みながら聴くという…せっかく英語詞で書かれた歌なのに、何か二度手間になっているような気がして、めっちゃもどかしいんです。

 

だから、これはHomecomingsに限ったことではないんだけど、日本語歌詞には無条件で大賛成なんです。日本語はきれいだし、何より母国語だから、当たり前だが一番馴染むからです。

 

まぁとにかくこういう感じで、Homecomingsは、ある時バンドの音楽の方向性をガラッと変えたわけです。

 

そもそも、日本語歌詞への転換が一番大きいんですけど、音楽性もそのポップさは身を潜めるようになり、その代わりにシューゲイザーやエレクトロといった色が強い音楽が増えてきたように思えます。

 

もちろん、今でも【I Want You Back】は好きだし、個人的に一番好きな曲【Hurts】も英語歌詞時代の曲ですし、他にもその時代で好きな曲はたくさんありますが、全体的な雰囲気として、落ち着いて聴ける、今のHomecomingsが一番好きです。

 


■ということで、今回のアルバム『see you, frail angel. sea adore you』について、少し紹介してみたいと思います。

 

先程も紹介したように、英語歌詞で歌っていた頃はポップで明るい感じの曲が魅力だったところから、作品を追うごとにそこからは離れていると思っているんですけど、それが今回の新しいアルバム『see you, frail angel. sea adore you』で、さらに推し進められたという印象です。

 

ポップという面影はもうほとんどなく、シューゲイザーとかポストロックという表現が一番しっくりくるんですかね。個人的には、何かPeople In The Boxを思わせるような、1曲の中でその曲の姿がガラリと変わるような、”静”と”動”が目まぐるしく変わるような、そういう曲が多いという印象です。

 

何か、演奏の部分は激しかったり、結構ノイジーで攻めた感じがするんですけど、そこにボーカルの畳野さんのゆるくもきれいな声が乗っかるだけで、激しさだけが前面に押し出されるのではなくて、全体がうまく中和されて、一気に聴き心地がよくなるところとか、本当に良いなぁと思います。

 

それはもう本当に、初期の頃に【I Want You Back】だの【GREAT ESCAPE】だのって、ポップな歌を歌っていたバンドと同じバンドとは思えないくらいの変化なんですけど、今のHomecomingsの音楽が一番好きです。

 


■そして、このアルバムで全体的に歌われている内容って、どういうものなんだろうって考えてみました。

 

まず、アルバムタイトルから”see you, frail angel. sea adore you”と…覚えられそうにないですけど(ごめんなさい苦笑)…独特なタイトルですよね。日本語に訳すと…「またね、か弱い天使。海はあなたを愛している」という感じになるようです。

 

何か映画や小説のタイトルや、それに出てくるセリフなんでしょうか(のように思いました)。ただ、言葉にして読んでみると、何かリズムよく読める、不思議だけどしっくりくるタイトルだなという印象です。

 

このアルバムを通して聴いた時の、全体的なイメージとしては、うまく言葉に出来ないですけど、”海を漂っている”という感じでした。タイトルにも”sea”という言葉が入っているので、それに引っ張られたことも要因のひとつになっていますが…。そんなに明るい曲が入っているわけではないので、明るい昼間の海というよりは、暗い夜の海を漂っている、という感じです。そういう経験をしたこともないんですけど、何かそういう感じでした。

 

このイメージの正体は、具体的にはどこから来るんだろうって思っていたんですけど、このアルバムに寄せられたインタビュー記事にて、メンバーがそれを語っていました。

 

引用元

natalie.mu

 

 

福富優樹(G)「やっぱり年始に起きた震災(令和6年能登半島地震)の影響が大きくて。地元の海は小さな海岸で、漁港があるわけでもなければ海水浴が盛んというわけでもないけど、高校生の頃はその場所で音楽を聴いたり本を読んだりしていたんです。今思えば青臭いけど、その頃に触れた音楽や本が自分のルーツになっているし、(中略)だからこそ、あの海のことをちゃんと音楽で残しておきたくなったんです。」

 

畳野彩加(Vo, G)「私も同じで、あのお正月のことはどうしても忘れられないんですよ。地元のなんとも言えない暗い海とか、稲穂が延々と続いている景色とか……。今回のアルバムではトミー(福富)が「自分のことをちゃんと表現したい」と言っていたので、私はそこに寄り添って曲を書こうと決めました。」

 

 

お二人が石川県出身であり、そこで起こった令和6年能登半島地震に際して心を痛めたこと、そして自分たちを育んでくれた地元の海や街の風景を音楽に残しておきたいという想いなどが、このアルバム制作の大きな軸になっているのだと…自分が感じたイメージは、そこから来たのだと合点がいきました。

 


■ということで、先述のことを踏まえつつ、特に印象に残った曲や部分を紹介してみます。

 

04. blue poetry
08. (all the bright places)
12. kaigansen

 

…もちろん、1曲目~3曲目【angel near you】【slowboat】【Moon Shaped】も良い曲なんですけど、この3曲を経ての4曲目【blue poetry】から、一気にこのアルバムの世界に入っていく感じがしています。

 

それで、この3曲が印象に残った理由なんですけど、3曲とも共通して…これもうまく言葉にできないですけど、壊れたラジオが発するような、めちゃくちゃに鳴らされている楽器の音のような、コンピュータの読み込み音のような、ロボットやアンドロイドが何かを発している電波音のような…そういう音が曲の中で鳴っています(8曲目の【(all the bright places)】はインストの曲)。

 

4曲目の【blue poetry】で、そういう音が初めて聴こえてきて、このアルバムの雰囲気に本格的に入っていくように感じます。

 

そこから、8曲目【(all the bright places)】と12曲目【kaigansen】でも、また同じような音が聴こえてくることで、そういうアルバムの世界観がひとつながりで、ずっと最後まで続いているということを表現しているのかな、と思いました。

 


05. luminous

luminous

luminous

  • Homecomings
  • ロック
  • ¥255
  • provided courtesy of iTunes

 

4曲目の【blue poetry】で、アルバムの世界観に入っていったところから、この曲では、これは過去の思い出の中にある石川の海のイメージでしょうか。曲のタイトルも”luminous”…光り輝く様子という意味なので、このアルバムの中でも、明るい感じを表現したんですかね。

 


瞼に、春が飛んだ
真昼の海 手を伸ばす
稲穂に浮かぶような街

 

冒頭の歌詞ですが、これはお二人が過ごした街の原風景を表している部分でしょうか。”真昼の海”、”稲穂に浮かぶような街”など、具体的な表現がなされて、そういう景色が一気に広がっていきます。

 


目に鮮やかなフォーム
歌うように色つけた
羽根と舞う花びらみていた

 

すごい詩的できれいな表現ですよね。思い出の場所で過ごした時間を切り取ったのか、そこで歌が生み出される瞬間を表したのか。

 


06. ghostpia

ghostpia

ghostpia

  • Homecomings
  • ロック
  • ¥255
  • provided courtesy of iTunes

 

このアルバムの収録曲だったら、一番好きな曲です。5曲目の【luminous】や、この6曲目の【ghostpia】は、最新のHomecomingsを一番表してる曲になるんですかね。ずっと紹介しているように、シューゲイザーとかポストロックの感じが、ここら辺の曲から一番感じられます。

 

このアルバムのテーマとしてあるのが、メンバーが青春時代を過ごした石川の海を音楽にして残す、というものが主軸にあると思うんですけど、それとは別に、先述のように震災に心を痛めて…というものがあるで、そういう流れで考えると、また別のテーマとして、”鎮魂”や”浄化”というものがあるかなと思っています。

 

被害にあわれた人たちを、壊れてしまった街を、そして、様変わりしてしまった自分たちが過ごした海岸を悼む気持ち…それらもきっと、音楽に込められているんだと思います。

 

そういう想いを、個人的に一番感じたのが、6曲目の【ghostpia】という曲です。この”ghostpia”という言葉…どういう意味なのか調べてみるのですが、特にこういう英単語があるわけではなさそうです(任天堂のゲームで、同名のビジュアルノベルゲームがありましたが、関連は不明です)。

 

ただ、ghost=幽霊、”-pia”で~郷とか~世界みたいな言葉を表すことを考えると、漠然と意味が浮かび上がってくるような気がします。

 


10. Tenderly, two line

Tenderly, two line

Tenderly, two line

  • Homecomings
  • ロック
  • ¥255
  • provided courtesy of iTunes

 

とても優しい曲です。演奏も、ボーカルの畳野さんの声も、とても穏やかに聴こえてきます。

 

この曲は、京都アニメーションが手がけるアニメ「響け!ユーフォニアム」のキャラクターソングとして提供した曲を、セルフカバーしたものなんだそうですね。だから、アニメを見ていないと、本当の意味ではこの曲がどういう曲なのか分からないのかもしれないですが、分からないからこそ、僕自身はただアルバムの中の1曲として聴いています。

 

でも不思議ですよね、このアルバム用に作られたと言われても、別に何の違和感もないほどの合いようだと思います。”優しい、二つのライン”というタイトルで、僕は青い空に引かれた飛行機雲を思い浮かべました。どこまでも広がる海、頭上には同じようにどこまでも広がる青い空があって、そこに白く引かれた飛行機雲が映えている景色…そんなきれいな場所で、それぞれの時間を過ごしていたという、そのひとときを切り取ったような歌だと思います。

 


12. kaigansen

kaigansen

kaigansen

  • Homecomings
  • ロック
  • ¥255
  • provided courtesy of iTunes

 

そして、ここまで続いたアルバムの世界観の終わりとして、この【kaigansen】が締めくくっています。タイトルが”海岸線”をローマ字読みにしたものだというところも、何か考えさせられます。

 


君が今 しんじることは?
旅がもう 一周りしたら
線はただ ほどけていった
海はもう 開いてしまった

 

冒頭の歌詞ですが、遠くから聴こえてくるみたいに、ぼんやりと鼻歌でも歌っているように聴こえてきます。何か、気持ちが浄化していくような感じ。そして、それはそのまま、地震によって被害に遭われた人や街をなだめていくような、そんな響きすら感じます。

 

思い出の海岸線に立ちつくして、鼻歌でも歌いながら、ただ物思いにふけっている感じでしょうか。色んな所に旅をして、色んな歌を紡いできて、自分も色々変わっていった、その原点にもなる場所にまた帰ってきて、自問自答している感じでしょうか。

 

そして、このアルバムの収録曲の中に、たびたび出てくる言葉として(多分4曲に出てきていると思う)”羽根”という言葉があるんですけど、この曲の中にもそれは出てきます。

 


降り積もる羽根の渚
漕ぎ出すことを夢見た

 

アルバムのタイトルには、”angel”(天使)が出てきているので、必然的にくっつけて”天使の羽根”みたいに考えていますが、この”羽根”というものを、浄化された魂だったり、悲しみや苦しみだという風に考えています。

 

 

■ということで、アルバム『see you, frail angel. sea adore you』の、自分なりの解説でした。

 

全然語りつくせていないと思いますが…決して、明るくて元気に!という感じではないですが、とても穏やかな気持ちになれるアルバムだと思います。同時に、何か色々と考えさせられる作品です。

 

今までのHomecomingsの作品の中では、一番込められている想いが強くて、彼ら彼女らにとっては、作らなければならなかった作品だったのでしょう。個人的に、Homecomingsの作品の中で、一番好きな作品になりました。

 

ちなみに、YouTubeで見れるスタジオライヴがめっちゃ良いです。このアルバムからも曲を披露しているのですが、特に【ghostpia】と【luminous】が良いです↓

 

youtu.be

ホントにあるよね ウソじゃないよね 夢でみたイルミネーション

B'z イルミネーション 歌詞 - 歌ネット

 

【イルミネーション / B'z】

 

■自分が音楽を聴きはじめた、正真正銘最初のきっかけと言えば、兄の存在は大きかったです。

 

6歳年上の兄なのですが、年齢が上過ぎるが故、例えばよく聞くような、兄弟間のエピソード…兄弟ゲンカとか、仲違いをしていた時期があったとかそういうのはめったになく、自分にとって兄とは、常に自分の先を歩む憧れ的な存在でした。

 

だから、これも一つ屋根の下に住んでいたので、当然と言えば当然ですが…音楽についてもまた、兄が聴いていた音楽を自分も受動的に聴いている状況から、少しずつ自分から選んで音楽を聴くようになっていったのです。

 


■その最初期…おそらく自分が小学生の中学年~高学年くらいの頃ですが、その頃に、兄が(兄と)よく聴いていた音楽の中で一番印象に残っているのが、B'zです。

 

少し広く話をすると、兄はいわゆる”ビーイング系”のアーティストの音楽を好んで聴いていました。DEENT-BOLANWANDSMANISHZARD大黒摩季などのアーティスト…本当に懐かしいですけど笑、こういったアーティストの中でも、特に好んで聴いていたのがB'zだったんです。

 

家でも、父親が運転する車の中でも、よくB'zが流れていたことを今でも覚えていますが、その影響で自分もB'zを追うようになるわけです。一番、B'zを聴いていた時期は、自分が小学生高学年~高校1年生くらいですかね…作品で考えると、5th『IN THE LIFE』~12th『GREEN』くらいが一番記憶に残っています。

 


■中学生の時には、同じく(いや、自分なんかよりも熱狂的な)B'zファンの友人Nが同級生に居まして、よくB'zトークをしていました。

 

そして、友人NはB'zのファンクラブにも入っていて、僕の分までチケットをとってくれたりして、B'zのライヴにも何回か行きました。ちなみに、この頃のB'zのライヴが、自分が初めて行ったプロミュージシャンのライヴになります。

 

しかも、僕や友人Nが中学時代を過ごしていた頃は、ちょうどB'zがデビュー10周年を迎えた時期を跨いでいたので、本当に良い時期にB'zと共に青春時代を過ごしていたんだなぁと思います。その頃の10周年のライヴにも友人Nと行くことができたりして、今考えると、伝説級のライヴに自分は参加していたんだなと思い知らされるばかりです。

 

めっちゃ昔のことなので、もうよく覚えていないので調べながら書いているんですけど、恐らく自分は3回ライヴに行ったのだと思います。多分、『B’z LIVE-GYM ’99 “Brotherhood”』『B’z LIVE-GYM Pleasure 2000 “juice”』『B’z LIVE-GYM 2001 “ELEVEN”』だったと思います。

 

このうち、(もう記憶の片隅にしか残ってないですが、それでも)一番記憶に残っているライヴは、2001年のライヴ『B'z LIVE-GYM 2001 ELEVEN』の広島グリーンアリーナ公演です。

 

この公演でB'zは、僕や友人Nが最も好きな曲、【さよならなんかは言わせない】をやってくれたんです。別に、その時の最新アルバムの収録曲でもないのに、あのイントロが聴こえた瞬間、「ま、まさか!うぉー!!」と声をあげながら、友人Nと顔を見合わせて喜んだことを覚えています。

 

そんな風に、間違いなくB'zは僕の青春そのものでした。B'zと共に過ごしてきた時代が確かにありました。

 

ただし、高校を卒業する頃には、B'zはもうほとんど聴かなくなっていました。自分がちゃんと追ったアルバムと言えば、14th『THE CIRCLE』くらいまでだと思います。

 

その頃はまだ自分も若かったので、瞬く間に色んな音楽に興味が移っていったのはあると思います。別に、B'zのことが嫌いになったとか全くそういうことはないですが、まぁB'zよりも熱心に聴くようになったアーティストが多くなり、そこから少しずつB'zは聴かなくなって…という感じだったのだと思います。

 

もちろんその後も(今でも)、時々思い出したように、先述した過去の作品たちを中心にB'zは聴いたりしてはいますが、新しい作品は特に追ったりすることはなく、熱心に聴くことはなくなり…そうして、20年以上の月日が流れました。

 

そして現在2024年、B'zの新曲【イルミネーション】ですよ!

 

最初はたまたま耳にしたんですけど、紛れもなく最新のB'zではあるんですけど、これがまた懐かしい感じがして、おじさんは聴きほれて、気が付くと配信シングルをダウンロードし、何度も繰り返し聴くほどお気に入りの曲になったわけです。

 

ということで、今回は自分なりにこの曲を紹介してみたいと思います。

 

イルミネーション

イルミネーション

  • B'z
  • J-Pop
  • ¥255
  • provided courtesy of iTunes

 

 

 

■【イルミネーション】は、配信限定シングル…としつつも、”?thシングル”みたいな感じにはなっていないようですね。しかし、B'zも本当にたくさんのシングル曲を発表してきましたねー。一応、54作目のシングル曲として、【STARS】(2023年)があるようです。

 

【イルミネーション】は、2024年の朝ドラ「おむすび」の主題歌として発表されました。かく言う僕自身も、ドラマは見ていないですけど、これがきっかけで曲を知ることになりました。

 

このことについて、B'zの稲葉さん・松本さんがコメントを寄せているので、ちょっと紹介してみます。

 


主題歌:B’z松本孝弘/稲葉浩志)コメント

 

泣いて笑って山を越え谷を越え進んでいくように生きて、たどり着いた場所には、無償の愛情に満ちた輝きを放つイルミネーションが待っている。そんな希望を持ちながらこの『おむすび』の主題歌を作りました。明るいエネルギー溢れるドラマとともに楽しんでいただけたら嬉しいです。

 

よく考えてみると、B'zが朝ドラの主題歌を務めるのは、意外な感じはします。思えば、自分に縁のあるアーティスト…具体的には、スピッツBUMP OF CHICKENなんですけど、スピッツはまぁ合うだろうなと思っていたんですけど、BUMPや今回のB'zについては意外でした。

 

ということは、B'zが今年紅白歌合戦に出るか!?まぁ、スピッツは出なかったですけど…。

 


■ところで、”かつて”長くファンだった自分が言うのも何なんですが、改めてB'zの魅力は何なのか、個人的に少し考えてみました。

 

まずは、何と言っても稲葉さんのボーカルですよね。

 

高い声が出る、ビブラートなどのボーカルテクニックがすごい、どんな音程も外さない…いわゆる”喉からCD音源”、それらのうまさだけではない…鬼気迫るような強い気持ちの込もったボーカルなど、ボーカルのうまさって色々あると思うんですけど、その色々を全て含めても、本当にうまいボーカルと言えば、今でも日本では稲葉さんが真っ先に思い浮かびます。

 

この【イルミネーション】でも、それは遺憾なく発揮されています。ハードロックだろうが、バラードだろうが、今回のような朝ドラに似合うようなちょっと優しい楽曲だろうが…どんな曲にも似合うようなボーカルは、本当にすごいなぁと改めて気づかされます。

 

そして、その稲葉さんの力強いボーカルに負けない、楽曲と演奏の力強さも魅力のひとつだと思います。特に、長く寄り添ってきた、ギターの松本さんとの相性は、いつになっても抜群だなと思うばかりです。

 

B'zは、そのほぼすべての楽曲を、作詞が稲葉さん、作曲が松本さん、という役割で作っています(よね?そうじゃない曲もあるのかな?)。

 

やはり世界的にも有名なギタリストである松本さん…特にギターのメロディーや音色などには、相当こだわっていると思います。天性の稲葉さんのボーカルに、楽曲が負けなていないのは、隣でこれまためっちゃすごいギターを演奏している松本さんがいるからでしょうね。

 

今回、【イルミネーション】を聴いていても思ったのですが、松本さんのギターソロが一番懐かしく思う要因だったかもしれません。何て言うか、良い意味でも(悪い意味でも?すみません…)、松本さんのギターはちょっと古くさく聴こえるんですよね。

 


■それから、【イルミネーション】で歌われている内容について。

 

先述の通り、B'zの楽曲の作詞は稲葉さんが担っています。それらには、良い意味でめちゃくちゃくさいラブソングや、結構エロい歌もあったりしますけど、稲葉さんの歌詞って、結構遊び心のあるお茶目な詞もたくさんあると思っています。それが時に、ハードロックな曲とギャップになっていたりして面白いんです。

 

と言って、具体的にあんまり曲が思い浮かばなかったんですけど…

 

【恋心 (KOI-GOKORO)】では、”松本に相談しようか”と恋愛相談を松本さんにしようとしたり、
おでかけしましょ】では、”おでかけしましょ めんどくさがらないで”など、バリバリのハードロックの曲には、普通は当てはめないような歌詞があったり、【Crazy Rendezvous】は、女性を拉致したように、強引に車に乗せてドライブに出かけたり(くっそカッコいい曲です)

 

など、色々あると思うんですけど、この【イルミネーション】も、結構お茶目だなぁと思うんです。ちょっと追ってみると、

 



君の1番好きな 歌を聴きながら進もう
暮れ残る空の下 浮かぶ山並み

 

こういう歌詞で曲が始まるんですけど、まず稲葉さんのクセのあるボーカルで「ああ、そうだ、これがB'zだったよ…」と、もう既に懐かしさでおじさんの涙腺がゆるんだんですけど、注目したいのはここの歌詞の内容です。

 

僕はてっきり、”イルミネーション”というタイトルだから、いわゆる街の街路樹とかクリスマスツリーとかを彩るような景色と(余談ですが、おじさんは最近、門司港レトロに行く機会があったので、それも思い浮かべましたが)、そこにいる幸せそうなカップルなどが思い浮かびそうですが、”山並み”とか、読み進めると”曲がりくねった道”とか出てきて、一体この人たちはどこへ行こうとしているんだろうと、思うわけです。

 



ホントにあるよね ウソじゃないよね
夢でみたイルミネーション

 

サビでこんな風に歌われる始末です。これをちょっと捻くれて読むと、例えば一緒に連れて行った恋人のセリフだと想像してみると、「こんな山奥まで、どんどん街も離れて、どこに連れて行く気よ!ほんとにイルミネーションあるの!?」みたいな感じに読めなくもないです。

 


そして、さらに2番では、まずAメロ

 


ここが何処なのか わからないのがなんか嬉しい
君だけがただ一個の 僕の知ってるもの

 

あら、迷子ですか?しかも、”ここが何処なのか わからない”としつつも、それが”なんか嬉しい”と言っちゃう始末…そして、そこからサビの部分、

 


ホントにあるんです ウソじゃないんです
息を呑むイルミネーション

 

迷子になった男の、恋人に対する必死の弁明に読めなくもないですね笑 「いやいや、ほんとにこの辺だと思うんだよー、おかしいな調べたんだけどなー」みたいな感じでしょうか。

 


それから最後のサビの部分、

 


ガッカリもションボリも丸めて
噛み締めて飲み込んで
ずっと諦めないでいられたら
クライマックスは続く

 

ひょっとしたら、結局見つからなかったんですかね?秘境の、幻のイルミネーションは、見つからずに終わってしまった…とも取れる表現です。

 


■とこんな感じで、ちょっと捻くれて読んでいますが、結局は”イルミネーション”というタイトルでありながら、普通ならば”イルミネーション”のきらびやかな輝きだったり、それを眺めながら一緒に居るカップルの様子などを歌いそうなものですが、この曲では、その”イルミネーション”を探す過程を歌にしているというところが、一筋縄ではいかない面白いところだなと感じました。

 

読み方によっては、イルミネーションが「見つかったの?見つかってないの?」と読み手が想像できる余地がありそうですが、この辺りは、冒頭で紹介しました、朝ドラに寄せたB'zの2人のコメントを再び引用させてもらうと、

 


泣いて笑って山を越え谷を越え進んでいくように生きて、たどり着いた場所には、無償の愛情に満ちた輝きを放つイルミネーションが待っている。

 

と、この歌で歌われている”イルミネーション”を探す過程を、人生そのものに例えているということが分かります。頑張って、色んな辛い想いとか、悲しい経験とかを乗り越えた先には、きっとご褒美が待っているよと、そういうことですよね。

 


■ということで、B'zの【イルミネーション】でした。めっちゃ良い曲だったので、最近のB'zの他の曲も聴いてみたくなりました。

 

youtu.be

 

そして、ある意味最大の驚きが、2024年現在、稲葉さんは60歳、松本さんは63歳という事実…このMVを見ても、お二人とも実にかっこいい。いやいや、スピッツ草野マサムネさんにしろ、ラルクHYDEさんにしろ、ミュージシャンって、なんでこんなにいつまでもかっこいいんだろう?

迷いを乗っけた爪先で 進め 進め 魂ごと

Iris (通常盤) (特典なし)

Iris / BUMP OF CHICKEN
令和6年9月4日発売

 

01. Sleep Walking Orchestra
02. なないろ
03. Gravity
04. SOUVENIR
05. Small world
06. クロノスタシス
07. Flare
08. 邂逅
09. 青の朔日
10. strawberry
11. 窓の中から
12. 木漏れ日と一緒に
13. アカシア

 


BUMP OF CHICKENの、(今の所)一番新しいアルバム『Iris』が発売になってから、早2ヶ月が経ちました。

 

このアルバム自体の感想については、4個前の記事でもあれこれ書いたのですが…色々思うところはありつつも、この約2ヶ月間でさらに繰り返し聴いてきました。

 

前の記事で話した通りですが、収録曲のほとんどがすでに発表されている曲であり、かつタイアップ曲ばっかりであるため、これを”アルバム”という作品で聴くのはちょっとなぁという想いと、個人的には自分が一番好きだった頃のBUMPの音楽と、今のBUMPの音楽がどんどん離れていっている現状をさらに感じた作品だという感想は変わっていません。というより、作品を聴けば聴くほど、その想いは強まっていくばかりでした。

 

ただその一方で、収録されている曲の中で、自分にハマった曲が何曲かあって、そのハマり度合いがめちゃくちゃ強いんですね。だから、今はそのアルバムの中の自分の気に入った曲だけを抽出して、プレイリストを作って聴いているという感じです。

 

まぁこれに関しては、どのアーティストのどのアルバムでも、結局は最終的にそういう聴き方に落ち着くことが多いので、別に『Iris』にだけ限ったことではないんですけど、それでも『Iris』についてはそれが本当に極端なんです。ハマった曲は何回も繰り返し聴くけど、ハマってない曲は、下手すると自分から能動的にはもう今後聴かないだろうなって感じです。

 

アルバムという作品として、一つの作品だということを強く感じることができるのであれば、別に気に入った曲でなくても、飛ばすことなくアルバムの流れとして聴くことはあるんですけど、『Iris』については別にそういうこだわりがないので、もう簡単に流してしまえますし、そういう聴き方に落ち着いてしまったなという感じです。

 

 

■具体的には、自分にめっちゃハマった!と言える曲が、3曲あります。

 


まずは、前回の記事で話した【木漏れ日と一緒に】という曲。

 

これは本当に良い曲ですよね。藤原さんが得意としている、日常を切り取ったような歌詞が素晴らしく、だからこそ、自分(聴き手)の日常や過去の経験の中に一つはあるであろう、この曲で歌われていることと似たような断片に共鳴して、何ていうか、自分の日常に曲がすーっと入ってくる感じがするんです。

 

あと、メンバーの演奏が小細工なくちゃんと聴こえてくる感じ、純粋なギターロックとして、何か自分がずっと追い続けてきたBUMPの音楽を思い浮かべます。

 


それから、【窓の中から】という曲。

 

NHKで18祭という企画の中で作られた曲なんですけど、うまく説明はできないですけど、最初はちょっと偏見がありました。それは、タイアップではないんだろうけど、そういう企画の中で作られた曲ってどうなんだろうっていう偏見…18祭というと、言葉通り18歳の若者たちでつくる歌みたいな意味合いが強いと思うんですけど、じゃあ自分みたいなおじさんはどういう気持ちで聴けばいいだろう、とかね。

 

ただこの曲に関しては逆に、アルバムに収録されたものを聴いたことで、好きになれた曲ですね。色んなものを取っ払って、アルバムに収録されたこの曲に向き合った時に、良い曲だなって思えたんです。個人的には、BUMPの曲で「みんなで歌おうぜ!」みたいになる曲は好きじゃないんですけど、この曲についてはそこの部分も良いなって思えました。

 

だから、色々思っていたことの正体は多分…自分が18歳だった頃に、もしもこの曲に出会ったら、きっと嬉しかっただろうなっていう、そういう過ぎてしまった時間に対する悔しさ、僻み、みたいなものだったんだろうなって思います笑。

 


そして、【青の朔日】という曲。

 

これがね、もう本当に大大大大名曲でした。最終的には、アルバムの中では一番好きな曲になりました。もう【木漏れ日と一緒に】と【青の朔日】の2曲だけで無限に回して聴いています。

 

何目線で言っているんだ、と思われそうですが、もしも昔好きだったけど、ちょっと最近のBUMPはあんまり聴いてないなっていう人が居たら、この2曲だけでも聴いてもらえたらと思います。めっちゃカッコいいです。

 

ということで、今回はこの【青の朔日】という曲を存分に語りたいと思います。

 

青の朔日

青の朔日

  • provided courtesy of iTunes

 

 

■まずは最初に白状したいんですけど…【青の朔日】は、ずっと聴かず嫌いの曲でした。

 

というのが、この【青の朔日】という曲は、曲の感じが前半と後半で雰囲気がガラッと変わるんですけど、そこら辺に行き着く前に、自分の中でこの曲の雰囲気を決めつけてしまって、長いことその感覚が染み付いてしまっていました。だから最初は、アルバムの中でもこの曲を飛ばして聴いたりしていました。

 

非常にもったいないことをしていたなぁと思うし、そもそもどの曲もちゃんと聴かないと、その曲がどんな曲なのか本当には分からないよなと、ただただ反省するばかりです。

 

で、前回書いたことと同じことをまた書くんですけど、同じ曲でも、自分がどういう状況の時に・どういう気持ちの時に聴くかで、その曲が全然違って聴こえてくるなってつくづく思います。【木漏れ日と一緒に】も【青の朔日】についてもそうでした。

 

【青の朔日】についても、例のごとく車の運転中に、自分の心情的には、色々考えすぎていて心がぐちゃぐちゃになっているような…あんまり良くない状況の時に聴いたことがあったんですけど、その時に自分の心にめっちゃ響いたんです。

 

【木漏れ日と一緒に】という曲が、日常にすーっと入ってくるような感覚になるのに対して、【青の朔日】については、自分の手を強く引っ張っていってくれるような、前に進む勇気をもらえる心強い曲だという印象です。きっと、こういう曲が欲しかった!という自分の状況だったからこそ、【青の朔日】に反応して、そういう曲だと気付いただけなんだと思います。

 


■まず、曲の雰囲気については、先述した通り、前半と後半で雰囲気がガラッと変わるような曲です。というより、どんどん曲が終盤にいくにつれて、盛り上がって強さを増していく曲です。

 

だからこそ、前半だけを聴いて曲全体の雰囲気を判断するのは、かなり無理があったなという感じです…。

 

最初は、美しいギターのアルペジオをバックに藤原さんが優しく歌っています。この辺りを聴いただけでは、そこまで盛り上がりもなく、心は躍らなかったんですけど、そこから少しずつ音色が増えてきて、それに伴って藤原さんの歌声にも力強さが纏っていきます。

 

そして、2番のサビからは、一段と演奏にも歌声にも力強さが加わって、おお、来た来た!ってなります。そこから再びBメロでは一旦ブレイクタイムがありますが、圧巻なのは最後のサビの部分で、その勢いが最大になるというところがまた堪りません。

 

こう徐々に曲が盛り上がっていく感じは、聴いていて非常にワクワクするところがありますね。個人的には、やはり最後のサビの部分の高揚感がめちゃくちゃ好きで、歌詞の内容とも相まって、力をもらえる部分だと感じます。やっぱり、ギターがジャンジャカなっている曲を聴くと、そうそうこれがバンプだ!って思いますよね。

 

あと、最後のサビが終わるところで、遠くで響くように聴こえてくる、藤原さんの「イェイ!」がめっちゃ好きです。

 


■そして、歌われている内容についてなんですけど、何か今までの歴代のBUMP OF CHICKENの楽曲の断片が、随所にちりばめられている感じがしました。個人的に、そう思った箇所を中心に触れつつ、歌詞を紹介していきたいと思います。

 



終わらない夜の途中 灯を忘れた空には
戻れない日の指切りを カシオペアの代わりに

 

カシオペア”とは、空に浮かぶカシオペア座のことですかね。星が5つ、アルファベットの"W"の形に並んでいることで特徴的な星座です。

 

BUMP OF CHICKENの楽曲でも、天体がモチーフになっていたり、歌詞に出てきたりすることも多いんですけど、そもそもBUMP OF CHICKENのトレードマークについて、BUMP OF CHICKENというロゴと、今では”星の鳥”と呼ばれるようになったマークに挟まれるような形で、星が4つ十字の形に並んでいるのが見てとれます。

 

ここの歌詞が、”カシオペア”…星が5つ並んでいるものを選んでいることについては、おそらく4つの星はメンバーを表しているんだと思うんですけど、そこに1つ加わった星については、BUMP OF CHICKENのリスナーだったり、生み出された楽曲を表しているんだと思います。

 



鳥になった宝物が 落とす影を追っていたら
真っ暗にまぎれて混ざって 見つけられないままで

 


鳥になった宝物が 落とす影 まだ探している
ああ もう一度だけ逢いたい 何も怖くはない

 

”鳥”という言葉が象徴的な部分ですけど、BUMP OF CHICKENと言えば、そもそもバンド名に”CHICKEN”という言葉が入っているので、BUMP OF CHICKENそのものが”鳥”と考えられますよね。

 

”鳥になった宝物”という言葉が、めっちゃ感慨深いですよね。長いこと活動してきたBUMP OF CHICKENに対して、藤原さんが”宝物”と表現していることについては、BUMP OF CHICKENという存在を、藤原さんを含むメンバーが本当に大切にしているのだと分かる表現だと思います。

 

ただし、個人的にはここの”鳥”は、”星の鳥”をイメージしました。”星の鳥”と言えば、アルバム『orbital period』に収録されている収録曲に、ずばりそのままのタイトルで【星の鳥】という、インストの曲があります。

 

また、”星の鳥”は、同アルバムに”星の鳥”がモチーフになった絵本が収録されたり、ライヴの映像でもスクリーンにデカデカと星の鳥が出現して動き出すなど、一介の楽曲に落ち着くだけにとどまらず、BUMP OF CHICKENを象徴するものとして存在しています。

 

BUMP OF CHICKENは、2008年に「ホームシック衛星」と称して、アルバム『orbital period』のリリースツアーを開催したのですが、2024年にはそのリバイバルツアーとして、「BUMP OF CHICKEN TOUR ホームシック衛星2024」を開催しました。

 

このことから、藤原さんが”星の鳥”を最新の楽曲にも出現させたことは、そういう経緯があったのかなと思います。

 



思い出せなくなった虹を 覚えている空には
くたびれた靴が響くよ それでも歩いていると

 

”虹”という言葉は、前の記事でも触れましたが、BUMP OF CHICKENにとっては馴染みの言葉ですよね。このアルバムの中でも、【なないろ】という楽曲は”虹”をモチーフにしている楽曲であるし、そもそもこのアルバムのタイトル”Iris”自体が、その意味を”虹彩”として、これも”虹”に縁のある言葉になっています。

 

自分が忘れててしまったことや、失くしてしまったものがあるかもしれないけれど、それらは空に浮かんで、ちゃんと歩いている人を見守っていると、そういうことを歌っているのだと思います。

 

 


明日が全てを失っても 繋げた鼓動だけは歌ってほしい
だから私は生きている カケラの全部で

 

ここの”カケラの全部で”という部分の言葉とメロディーについてなんですが、最初聴いた時からすごく聴き覚えがあって、何だろうと思っていたんですけど、その正体は、同じくBUMP OF CHICKENの楽曲である【ファイター】でした。

 

【ファイター】のサビの歌詞に

 


ここにいるためだけに
命の全部が叫んでる

 

という部分が出てくるんですけど、ここの”命の全部が”と、【青の朔日】の”カケラの全部で”という言葉自体が似ているし、前者の”全部が”と、後者の”全部で”のメロディーが似ているんですよね(全く一緒?分かりませんが…)。

 

そもそも、【青の朔日】には、これも象徴的な表現として、”ならば私は戦える”という言葉が出てくるんですけど、ここも”ファイター”という言葉と重なるし、【ファイター】にも【青の朔日】にも、”命”という言葉が象徴的に使われているところも共通点としてあり、個人的には、割と両曲を重ねて聴いている部分があります。

 



命は理由に出会えた 燃えて消える意味を知った
その火が視界を照らした 青く 青く どこまでも
明日が全てを失っても 繋げた鼓動だけは歌ってほしい
だから私は生きている カケラの全部で

 

泣かないでって祈るのは 足跡の下の涙
迷いを乗っけた爪先で 進め 進め 魂ごと
間違いかどうかなんて事よりも あなたのいる世界が続いてほしい
ならば私は戦える たとえその時 側にいないとしても

 

最後のサビの部分の歌詞を載せてみました。この辺りは、藤原さんが最も力を込めて歌っている場所です。時々ライヴ映像を見た時に思うんですけど、同じ歌でも、藤原さんが感情的に力を込めて歌っていることがありますよね。それを彷彿とさせる、力強い歌唱とともに、歌われている歌詞にも、とてつもない力が込められています。

 

”命は理由に出会えた 燃えて消える意味を知った”

 

”燃えて消える”という言葉で思い出すのは、例えば、過去にBUMP OF CHICKENが発表した【ゼロ】という楽曲…その【ゼロ】の歌詞の中に、”終わりまであなたといたい”という部分が出てくるんですけど、何かで読んだインタビューの中で、”藤原さんの歌詞は、ちゃんと命や人生が終わることを意識している”みたいなことを確かインタビュアーが言っていたんです。

 

”永遠に続く”とか”ずっと終わらない”などの表現ではなく、”いつか終わる”ことを意識して、藤原さんは歌詞を書いているところがすごい、というインタビューだったと思うんですけど、この歌もそうだなぁと、この”燃えて消える”というフレーズを読んで思いました。


”その火が視界を照らした”

 

”火”という言葉は、割とBUMP OF CHICKENの楽曲でも、結構核となる曲で使われているフレーズなんですけど、それらの曲には共通点があって、具体的には、【fire sign】は増川弘明へ、【セントエルモの火】は升秀夫へ、そして、アルバム『Iris』にも収録されている【Flare】は直井由文へと、それぞれ向けられた歌だと言われています(一説によると?公式に?)。

 

ともすると、この【青の朔日】にも”火”という言葉が使われているんですけど、これについてはおそらく”リスナー”に向けて歌われた歌なのではないか、と思っています。

 

まぁどの歌も、リスナーに向けて歌われている歌なのは当たり前だとは思うんですけど、この歌に込められた”リスナーへ”という気持ちは、特別強いと思っています。


”足跡の下の涙”

 

このフレーズも印象に残りましたが、同時にどう解釈したらいいのか、ちょっと迷うフレーズでもありました。ただ、そのままのイメージをしてみると、足跡の下の涙、ということは”涙”を踏んづけている…つまりは流した涙を踏みしめて、悲しみや苦しみを越えて、力強く歩いているという光景が浮かんできました。

 

このあとに、”進め 進め 魂ごと”というフレーズが出てくるんですけど、こんなにも”進め”と力強く歌うことは、それだけ強い想いが込められているんだろうと思います。

 


■という風に、これまでBUMPが歌ってきた、藤原さんが紡いできた言葉のオンパレードで、言い出せばきりがないのですけど、じゃあ、全体としてどんなことが歌われているのか、ということですけど、個人的には先述した通り、リスナーに向けた想いが特別強い曲だと思っています。

 

前回の【木漏れ日と一緒に】の記事を書いた時にも参考にした、アルバム『Iris』のインタビュー記事にて、藤原さんは【青の朔日】について、このように語っています。

 

引用:

BUMP OF CHICKENの5年ぶりアルバム「Iris」藤原基央1万字インタビュー - 音楽ナタリー 特集・インタビュー

 


「朔日」というのは新月のことで。真っ暗な世界の中で見つけてもらった感覚というか、あるいは真っ暗な中で会いたい人を探すような感覚というか。僕が音楽活動を通じて、唯一音楽を接点にしてリスナーとつながっていると感じている、その感じ方の1つとしてそういうイメージがあるんです。そこにある明かりは小さいとも表現できるし、唯一だからこそ大きいとも表現できるし、同じように弱いとも強いとも表現できる。それを追いかけているみたいな感覚もあるし、それを松明のように灯してあたりを照らしているような気持ちになるときもある。

 

個人的には、上記のことを象徴しているのが、”星の鳥”なんだと思っています。例えば、BUMP OF CHICKENの楽曲が、リスナーに向けて発信されていく様子を具現化したのが、”星の鳥”が飛んでいくというイメージです。再度歌詞を紹介してみると、

 


鳥になった宝物が 落とす影を追っていたら
真っ暗にまぎれて混ざって 見つけられないままで

 


鳥になった宝物が 落とす影 まだ探している
ああ もう一度だけ逢いたい 何も怖くはない

 

この宝物を”歌”だと解釈するならば、”落とす影を追っていたら”…それらの歌がどのようにリスナーに届いているのか追ってみようとしても、”暗闇にまぎれて”…その影はすぐに見失ってしまう、それでも”まだ探している もう一度だけ逢いたい”…またリスナーに向けて歌っている、という感じでしょうか。

 

そしてそれは、究極は最期のフレーズ

 


間違いかどうかなんて事よりも あなたのいる世界が続いてほしい
ならば私は戦える たとえその時 側にいないとしても

 

へと繋がっているのでしょう。自分の歌がリスナーに届いている様子が見えないとしても、つまりは自分が”側にいないとしても”、一人一人の世界が続くのならば、自分はずっと歌い続けるという覚悟を持っているのだと、そういうことですよね。

 

先述した【木漏れ日と一緒に】では、藤原さんが吐露した迷いみたいなものを垣間見えたのですが、この【青の朔日】では一変して、そういう迷いを一蹴するような強い気持ちを感じました。

 


■ということで、【青の朔日】、これは大名曲ですね。

 

うまく表現できないですけど、BUMP OF CHICKENの楽曲として、個人的には2つの路線を感じていて、1つは過去のBUMP OF CHICKENの楽曲からはかけ離れたような楽曲の路線と…ここら辺は自分には刺さらないけど…もう1つ、本来の純粋なギターロックとしてのBUMP OF CHICKENを感じる楽曲の路線があって、この後者の方を応援したいと、切に思っています。

 

そういう意味では、この【青の朔日】は、後者の路線で聴いていったときに、藤原さんが込めた想いも含めて、BUMP OF CHICKENが行き着く最高到達点の一つなんだと思えるようになってきました。

 

youtu.be

 

※余談ですけど、YouTubeで、ほぼすべてのBUMP OF CHICKENの楽曲を公式チャンネルで聴けるようになっていて、何か「え、いいの?」という気持ちにさせられますね。

街を出る時は少し怖いけれど 不甲斐ない僕のワガママに付き合ってほしい

RIDE

『RIDE / Subway Daydream』

 

1.Skyline
2.Timeless Melody (Album ver.)
3.Radio Star
4.Stand By Me
5.シュガードーナツ (Album ver.)
6.ケサランパサラン
7.Yellow
8.Pluto
9.Twilight (Album ver.)
10.The Wagon

 


■自分が好きなミュージシャンの活動を応援する中で、嬉しい瞬間って色々あると思います。

 

1番はやっぱり、そのミュージシャンが新しい曲を発表したときですかね。今なんかは、YouTubeにすぐに新曲が上がったり、音源がその場に居ながらも購入できて、ダウンロードしてすぐに聴けたりと、なかなか便利な世の中になったもんです。

 

その他、自分の大好きなミュージシャンがTVに出ているのを見ること、雑誌に出ているのを見ること、ライヴに行くこと、今の時代であれば、SNSでミュージシャンの何らかの日常が垣間見えることなども、嬉しいですよね。

 

…色々とあると思いますが、その一つにこういうのもあると思います。それは、

 

「自分が好きなミュージシャンが、また別の自分が好きなミュージシャンのことを話題にした時」

 

これも、めっちゃ嬉しくなる瞬間だと思います。

 


■例えば、僕が1番好きなバンドがスピッツなんですけど、スピッツ草野マサムネさんがご自身のラジオ番組で、これまた僕が大好きなバンドである、BUMP OF CHICKENを特集したことがありました。両方が好きな僕にとっては、伝説の回となりました。その回は、音源を録音して大事に保管しているくらい、自分にとっては宝物なのです。

 

草野さんが、ご自身が好きなBUMP OF CHICKENの曲を流しながら、その曲との思い出を語るのを聴きながら、「ああ、同じように、草野さんもBUMP OF CHICKENを聴いてきたんだ!」「もう草野さん、飲みに行こう!語り明かそうじゃないか!」って感じで、終始大興奮して聴いていました。

 

※これについては、以前スピッツ大学にて、記事を書いたことがあるので、良かったらそちらも読んでみてください。

 

itukamitaniji.hatenablog.com

 

自分の好きなミュージシャンが出るだけで嬉しいのに、さらに追加で好きなミュージシャンが出てくると、それだけで満足感が2倍にも3倍にもなります。

 

もちろん、コラボして歌を作りましたとか、カバーしましたとかは嬉しいんですけど(たいていは…)、そうじゃなくても、推しが推しを推していることが分かること、これがまた良いんですよね。

 


■それで今回の記事なんですか、今話したようなことがまた起こったので、それを話題にしたいと思います。

 

これはXでのポストにて知ったことなのですが…これまたスピッツが出てくるのですが…スピッツのファンクラブ会報にて、草野マサムネさんがSubway Daydreamというバンドのアルバム『RIDE』を、お気に入りのCDとして紹介したそうなのです。

 

 

何を隠そう、僕もSubway Daydreamが大好きなので、またシンパシーを感じて嬉しくなりました。僕は、別ブログで”スピッツ大学”というのを書いているんですけど、スピッツ草野マサムネさんが推しているバンドを、”スピッツ大学”のブログを書いている僕が推している、というところにも、どこか不思議な縁を感じざるを得ません。

 

で、こんなこと言うと、草野さんにもSubway Daydreamにも失礼だとは思うんですけど…Subway Daydreamって、めちゃくちゃ若いバンドだと思うんですけど(それこそ20代前半とかその辺りなのかな)、そんな若いバンドを、おじさんの自分が好きでいることに対して、何て言うかギャップを感じたり、眩しい青春に自分が触れて良いんだろうか、とかちょっと思ったりしたんですけど、草野さんも推しているんだ!ということを知ることができたので、かなり勇気をもらったんです。俺もSubway Daydream好きですよ!おじさんでも好きになって良いんだ!って。

 

もっと言うと、僕はSubway Daydreamの最初のシングル曲【Twilight】が単体で発売になった頃にこのバンドにハマったので、”最古参”としての誇りを胸に、(勝手に)草野さんと一緒に応援していきます。

 

ということで、とても嬉しくなったので、ここからは僕も僕なりに、Subway Daydreamのアルバム『RIDE』を、少し紹介したいと思います。

 


■アルバム『RIDE』が発売になったのは、2023年1月18日のことでした。

 

リアルタイムで考えると、もうすぐ(2ヶ月後…)アルバム発売から2年経つわけですね。いやぁ、時の流れは恐ろしい…2年なんて、おじさんに言わせてもらえれば、最近の出来事だと思ってますからね。えぇ、2年も経ってるのかい!?って思うんですけど。

 

アルバムは、今でもめちゃくちゃよく聴いています。何度聴いても楽しくて、飽きなくて新鮮で…それがもう2年前の作品なんですね、そこが一番びっくりです。

 

本当に若くてフレッシュで、もうおじさんには取り戻せない青春が、これでもかと詰まっています。以前にブログで書かせてもらいましたが、僕は大学の頃に、軽音楽ではないけれど、弾き語りサークルで活動していたので、その時代を思い出させてくれるような、音楽に一番打ち込んでいたあの時代を思い出します。だから、新しいんだけど、同時に懐かしさも感じるアルバムになっています。

 


■僕がリアルタイムでこのアルバムを聴いた時は、収録内容としては、それまでのSubway Daydreamが発表した曲の詰め合わせ、要はこのアルバム自体が、それまでのSubway Daydreamのベストアルバム的な立ち位置になっていました。

 

新しいファンに対して、Subway Daydreamとはこういうバンドです!という、いわゆる自己紹介的な作品にしたかったという側面もあったのかな、と勝手に想像しています。

 

そういう意味では、僕にとっては、このアルバムで新しい曲に出会った、というよりは、今までの名曲たちを名曲だと再確認するためのアルバムだったと思います。アルバムという1作品の流れの中で、今までの曲を振り返る感じで聴いていました。

 

だから、収録曲の中で新曲として聴いたアルバム曲も、おそらく1曲目の【Skyline】だけだったと思います。この1曲は、個人的にはそれまでのSubway Daydreamにはなかったような曲調だったので、アルバムの出足から新鮮さを感じたことを覚えています。

 

うまく説明できないんですけど、ドコドコ鳴っているドラムの音がどこか民族的なイメージで、それでいて歌詞の方は言葉遊び的な部分もあって、そのギャップが面白い曲です。短い曲なので、この曲でこのアルバムの始まりを告げるという意味で、出だしの良いアクセントになっていると思います。

 

そこからは、全体的にとても明るくポップな曲がこれでもかと続いていって、聴くといつも楽しく元気にさせてくれます。

 


■で、めちゃくちゃ好きなアルバムだからこそ、あえて残念ポイントを一つ言っておきます。

 

このアルバムの中に、(Album ver.)と銘打ってある曲が3曲入っています。具体的には、M2【Timeless Melody (Album ver.)】、M5【シュガードーナツ (Album ver.)】、M9【Twilight (Album ver.)】という3曲なんですけど、M5【シュガードーナツ (Album ver.)】とM9【Twilight (Album ver.)】は、個人的には元の曲の方が良かったなぁという感じです。

 

元の曲とは、最初に発売になったCDシングル『Twilight』で聴くことができるんですけど、【シュガードーナツ】のかわいらしさと、【Twilight】のドリームポップ感やちょっとシューゲイザー感が、Album ver.になったことで失われた気がして、これは残念だったなと思っています。

 

ただ、元の曲はすでに聴いていたので、同じ曲よりもアルバムバージョンになっていたことによって、新曲が聴けたようなお得感は感じることができ、そういう意味では良かったのかなぁと思っています。ちなみに、M2【Timeless Melody (Album ver.)】に関しては、アルバムバージョンの方が好きです。

 

以前のブログで書きましたが、僕はSubway Daydreamの曲の中でも、特に【Twilight】という曲が好きなんです。先述した通り、このアルバムには、【Twilight (Album ver.)】として入ってはいますが、このアルバムから入った人は、元の曲の方を絶対に聴いてください。

 

【Twilight】は自分にとって、もう本当に何十年に一回出会うか…も分からないくらいの大大大名曲だと思っています。おそらく、死ぬまでずーっと言い続けます。

 


■という感じで、圧倒的な【Twilight】推しなんですけど、このアルバムには自分にとってはそれと双璧を成すくらいの大大大名曲が入っています。

 

それが、このアルバムの最後を締めくくる【The Wagon】という歌です。これがね、まためっちゃ良い曲なんです。

 

 

The Wagon

The Wagon

  • provided courtesy of iTunes

 

 

イントロからいきなり、ポップで派手なギターで、目を覚まされる感じで曲が始まります。ただ、だからと言って、曲の全編がポップで明るいという、そう単純なことではなく、どこか哀愁だったり懐かしさだったりを感じるのも、この曲の特徴だと思います。

 

例えば、同アルバムには、【Radio Star】とか【Timeless Melody】とか【Stand By Me】など、もう聴くからにポップで元気な曲も多く入っているのですが、それとはちょっと違う印象を、この【The Wagon】からは受けます。

 

そもそも、今回のアルバムは全体的に、前作EP『BORN』から、結構POPな方向に振り切った感じが強いと思うんですけど、Subway Daydreamの歌の良さ特徴の一つとして、そのPOPな雰囲気の中にも、哀愁や懐かしさみたいな、元気で明るく!と一筋縄ではいかない何かを感じるところは残っていて、個人的にはそこがめっちゃ好きなんです。それを、広義に”ドリームポップ”と呼ぶんでしょうか…分かりませんが。

 

Subway Daydreamが作るメロディーって、個人的に自然と入ってくる感じがたまらなく好きなんです。それは、歌メロはもちろん、ギターのメロディーもなんですけど、気持ちいいところにすーっと入ってくる感じがして良いんです。

 

それは、無理やり繋げるようで恐縮なんですけど…冒頭で話したように、スピッツの音楽を(おそらくたくさんある中の)一つのルーツとして持っているのだとすると、決してSubway Daydreamとスピッツが似ているというわけじゃなく、巡り巡って、色んな音楽と合わさりながら、僕にもフィットするような形になっていったのかなと思えば、おじさんはもうそれだけで嬉しくなりました。

 


■曲の話に戻すと…タイトルも、”The Wagon”と潔いところが気に入りました。そこから言わずもがな、車のワゴンを想像しました。

 

Subway Daydreamという、まだ若いバンドが作ったという性質上、このワゴンは、”バンドワゴン”的なイメージでしょうか。色んな街のライヴハウスなどにライヴをしに行く行程の中で、ワゴンに楽器や機材などを乗せて、何ならメンバー4人が乗っかって、色んな場所をめぐっていくという背景が見えてきそうです。

 

歌詞の内容は、ロードムービー的な、色んな場所に旅に出かける系の内容になっていて、それだけで「ああ、好きな感じ…」とおじさんの涙腺がゆるみます。

 


歌詞をいくつか抜粋して紹介してみると

 


抱えきれない未来を
小さなポケットに押し込んだ
ゆがんだ月は僕の鏡だと腑に落ちた

 

出だしの歌詞ですけど、ここは旅立ちのシーンでしょうか。早い朝方の空をイメージしましたが、曖昧に朝の空に浮かんでいるどっちつかずの月を、自分の心に見立てて、ちょっと不安な気持ちを表現しているのでしょうか。

 

Subway Daydreamの歌詞って、面白い言葉を使ってるなって思うことが度々あるんですけど…例えば他の曲だと、【Timeless Melody】の”なるはやで”とか、もっとあるはずなんですけど、具体的に紹介するのは難しい…この曲でも”腑に落ちた”とかね、飾らずに言葉を当てはめている感じが、とても好感を持てます。

 



街を出る時は少し怖いけれど
不甲斐ない僕のワガママに付き合ってほしい
この声が旅をはじめたから
中古の車で向かうよ 誰も知らない場所へと

 

”この声が旅をはじめたから”で、自分たちの歌を届けに行くという物語が想像できそうです。

 

”街を出る時は少し怖いけれど”と、自分の不安な想いを吐露しつつも、”中古の車で向かうよ 誰も知らない場所へと”、気持ち新たに新しい街へ、自分の歌を届けに行く姿を見て取れます。

 

余談ですが…毎回こんな話をしているような気がしますが…僕は、車の運転中に音楽を流すのが習慣になっていて、もちろんこのアルバムもよく流しているのですが、このアルバムが発売になったちょうどその頃、自分の仕事がら、車で色んなところに行かなければならない出張が多くなってきた時期でした。

 

僕は、そんなに車の運転が得意ではないので、しかも出張で行く場所は、ほとんど初めてだったり、自分にとっては割と遠い場所なんかもあったりして、結構不安だったりしたんです。

 

その時に、車の運転をしながら、この【The Wagon】のここの歌詞…”街を出る時は少し怖いけれど”という歌詞を聴いて、そうだよな、怖いよなー、とか思いながら、気を紛らわせて運転してました。絶対、ここはそういう励ましで歌っているわけないんですけどね笑

 



不確かな命を分け合うのだ
離れないでおくれ
いくつになっても見ていたい
混じりのないその輝き
ただずっと笑っていてほしいだけ それだけ

 

最後の部分の歌詞ですが、ここまで歌詞をよめば、さらに物語が広がってくるようです。

 

例えば、見送る者と見送られる者の関係だったり、旅に出るのは強い絆で結ばれている者同士だったり、きっと聴いている人それぞれにあるであろう旅立ちの風景を当てはめて聴けるのだと思います。

 


■ということで、スピッツ草野マサムネさんも推している、Subway Daydreamのアルバム『RIDE』の紹介でした。

 

僕が特に気に入っている曲は、とにかく【The Wagon】という曲です。MVも面白いので、見てみてください。完全に、E.T.の世界観でしょうか。

 

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鉄塔のガイコツ ネオンのゼリー 眠れぬ夜を旅する声

トワイライト

 

 

トワイライト

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■前回の記事では、新しいギターを買ったという話をしたんですけど、その中では触れただけだった、大学時代のサークル活動について、もうちょっと詳しく話をしたいと思います。

 


■大学時代、僕は音楽のサークルに入っていました。音楽と言っても、軽音楽や吹奏楽などではなく、いわゆる”弾き語り”の音楽を楽しむサークルでした。名前もそのまま”弾き語りサークル”で、言葉通り、アコギの弾き語りを主として、ピアノ、ハーモニカ、ジャンベカホン、時にはベース、時にはアカペラなど、そういう楽器や音楽を楽しむことが目的でした。

 

僕自身、高校の頃からアコギにはそれなりに慣れ親しんでいたので、大学のサークルに入った頃には、それなりにコードは追える感じで弾くことができていたので、サークルに入ってすぐに、仲間や先輩と話が合い、割とすぐに打ち解けたことを覚えています(多分…)。

 

大学時代の頃の思い出といえば、このサークルでの活動と、居酒屋アルバイト(こっちの方は結構エグイ話とかもあるのですが…)で占められています。このサークルがね、また結構本格的に活動していたんです。

 


■活動のメインとしては、学内での定期ライヴでした。確か、新歓ライヴ、梅雨ライヴ、文化祭ライヴ、紅葉ライヴとか、クリスマスライヴ、卒業ライヴ…あとはミニライヴなんかも合わせると、年に8回くらいですかね、結構頑張って年中やってました。

 

普段は、ホールに集まって各々が練習をしているんですけど、そろそろ次のライヴの時期かぁ…となったら、ライヴに出演したい人は曲を出し始め、通称”お披露目”という、メンバーたちの前での曲の披露を経て、曲順などを決め、いざ本番!という感じでした。学内でのライヴを軸として、サークルが年中回っていたようなものですかね。

 

あとは、外部での活動も良い経験になりました。地域の施設やイベントなどにも駆り出されて、ボランティアでライヴしたりしてました。障がい者施設のクリスマス会に呼ばれて歌ってみたり、外国人が集まるバザーみたいなところで歌ってみたり、町のお祭りで歌ってみたりと、色んな依頼を受けて活動をしたりしていました。

 

このサークルでの活動は、大人になった今でも、結構自分の核になっていて、僕自身は3回生の頃にサークルの部長を務めたんですけど、それは楽しかっただけじゃなくて、チームをまとめる難しさなんかも体験したことで、今の自分の大部分が形成されていると思っています。何か、根拠もない自信にもつながっている部分もあるかもしれません。あれだけ大きなサークルの部長をやってたんだ、と。自分の数少ない、誇らしい過去の栄光なんじゃないかと思います。

 


■そんなサークルの活動には、やはり同じ想いを持ったサークル仲間が集い、日々音楽の話をしたり、飲みに行ったり飯食ったりと、自分にとっても特別な人間関係になりましたが、そのサークル仲間の一人…同じ学年の仲間に、友人Mが居ました。

 

友人Mを一言で説明すると、ピアノも弾けて、ギターも弾けて、おまけに歌がめちゃくちゃうまいという、スーパープレイヤーでした。特に、友人Mの歌声については、サークル随一という感じでした。自分もこんな風に上手に歌えれば、と思う憧れの歌声でした。

 

友人Mの最初の印象は、独りでピアノで弾き語っている姿でした。僕らの練習場所にはピアノが置いてあったんですけど、サークルに属しているピアニストたちがそのピアノで練習をしている光景をよく見かけました。友人Mもその一人で、一番最初に見かけた友人Mが、ピアノ弾き語りを行っている姿でした。

 

また、友人Mからは色んな音楽を教えてもらいました。洋楽から邦楽まで、色んな音楽に精通していて、僕が好みそうな音楽を色々と教えてくれました。

 

そうやって、友人Mと交流を深めていく中で、どういう流れになったのかはもう覚えていないですが…多分、あっちがこっちに歩み寄ってくれた部分が大いにあったと思うのですが、まぁ色々あって、いつからか2人で組んでサークルのライヴに出ることが毎回の恒例になりました。まぁ、本当に上手なプレイヤーだったので、自分にはもったいない、出来過ぎた相方でした。

 


■友人Mとライヴに出る時には、いつも同じアーティストの曲をカバーしていました。それが、”GOING UNDER GROUND”というバンドです。

 

最近の若い人たちは…知っていますかね?おそらく、”かつて若かった”世代の人たちの方が、知っている人が多いんじゃないかと思います。

 

改めて調べてみると、GOING UNDER GROUNDのメジャーデビューは2001年なので、(2024年現在で)メジャーデビュー23周年を迎えるようですが、元々は中学生の幼なじみで結成されたバンドであり、GOING UNDER GROUNDと名乗り始めたのが1994年のことで…これは実に30年前のこと。長く活動しているバンドだということが分かると思います。

 

ちなみに、今も活動はしていますが、第一線で活躍をしている…とは言い難い感じではあります。GOING UNDER GROUNDは、元々は5人組のバンドでしたが、現在はそのうちの2人が抜けて、3人組で活動をしています。5人組の頃のバンドが特に好きだったので、今はやっぱり物寂しく思います。

 

今でこそ、熱心にGOING UNDER GROUNDは聴くことはなくなっちゃいましたが、僕にとって、GOING UNDER GROUNDは、青春の終わりに出会った大切なバンドです。幼なじみのメンバーが脱退しても、それでも解散をすることなく続けていくそのバンド像は、何かをずっと諦めずに続けていくことの大切さを教えてくれるような気がしています。

 


GOING UNDER GROUNDの魅力は、たくさんあるんですけど、その一つとして、かつてはキーボードメンバーが所属していたのですが、そのキーボードの音が、とても良い味を出していました。

 

何でも、先程紹介したように、GOING UNDER GROUNDは中学生の幼なじみで結成されたバンドだったのですが、元キーボードメンバーの伊藤洋一さんは、元々鍵盤を触ったことすらなかったようなのですが、どうしてもGOING UNDER GROUNDに入りたいということで、猛練習をしたそうなのです。

 

時にバンドの音楽を盛り上げ、時に情景を浮かび上がらせるように引き立てる…本当にGOING UNDER GROUNDの音楽に、キーボードは無くてはならないものでした。

 

僕が知らなかっただけだと思いますが、ロックバンドにキーボードメンバーが居ることについては、当時は珍しいなと思ったことを覚えています。というより、そういうバンドがあること自体、初めて知ったほどでした。今でも、自分の中でGOING UNDER  GROUNDは、”キーボードロック”の走りだと思っています。

 

残念ながら現在は、キーボードメンバーは脱退してしまっているのですが、過去の作品では、その音源を余すことなく聴くことができるのでおすすめです。

 


■さて、そんなGOING UNDER GROUNDと僕が出会ったのは、大学1年生の時でした。件の、サークルで活動をし始めた頃のことです。

 

古い記憶なので曖昧なんですけど、確か夜中に「カウントダウンTV」を見ていた時だったと思います。TVから、何やら印象に残る歌が流れてきました。

 

それが、GOING UNDER GROUNDの【トワイライト】という曲でした。【トワイライト】知ってますかね?NHKでやっていた「あしたをつかめ 平成若者仕事図鑑」というテレビ番組の主題歌だったので、GOING UNDER GROUNDの楽曲の中でも、ひょっとしたら一番くらい、よく知られている曲だと思います。

 

この曲をきっかけに、GOING UNDER  GROUNDを好きになって、特に大学時代は、その活動を熱心に追うことになるわけです。そして、友人Mも、確か同時期にGOING UNDER GROUNDを知った事で意気投合し盛り上がり、まさに【トワイライト】という楽曲を弾き語り風にアレンジカバーして、サークルのライヴで披露すべく、コンビを組むことになったのです。こう見えて、僕らのGOING UNDER GROUNDカバーは、割と評判良かったんですよ。

 

僕の中で【トワイライト】は、GOING UNDER GROUNDを知ったきっかけの曲であり、GOING UNDER GROUNDで一番好きな曲であり、また友人Mと初めてカバーした曲であり(自分の大学時代最後のライヴでも、この曲を披露しました)…とにかくめちゃくちゃ思い入れのある楽曲なんです。

 


■ということで、ここからは、その【トワイライト】という曲を少し紹介してみたいと思います。

 

GOING UNDER GROUNDの音楽は…その当時はこういう言葉があったのかはよく分かりませんが、”胸キュン”というか”エモい”というか、何かそういう形容が似合うような、胸がぎゅっとなって、センチメンタルな気持ちにさせられる感じの音楽でした。

 

最近のGOING UNDER GROUNDの音楽を聴いた感じでは、どちらかというと、結構渋めと言うか男くさいというか、まぁ年齢も重ねていることですし、男性3人ということもあって、そうなってくるのは必然のような気もしますが、そういう感じになっているのかなと思います。これについては、どちらが良いとか悪いとかではありませんが、やはり先程のキーボードロックからの変化の影響が大きいんだろうなと思います。

 

【トワイライト】についても、キーボードありバージョンとなしバージョンを聴いて比べてみたのですが、全然雰囲気が違って聴こえます。自分が慣れ親しんでずっと聴いてきたこともありますが、キーボードの音が聴こえてくる方が好みではあります。

 

夕暮れや日暮れなどの黄昏時を意味する”トワイライト”と、そう名付けられたこの曲…キーボードの演奏がとても映えて、そういう朝とも夜ともつかない、曖昧な景色を表現していました。

 


■【トワイライト】は、まずボーカルの松本素生(下の名前は、これで”そう”と読む…珍しい名前ですよね)の弾き語りから始まります。

 


鉄塔のガイコツ ネオンのゼリー
眠れぬ夜を旅する声
瞳を閉じて広がった世界
あぁ そうかあれは…

 

すごい詩的な表現ですよね。何気に、この曲でここの歌詞が一番印象に残っているかもしれません。特に出だし…”鉄塔のガイコツ ネオンのゼリー”と、独特な比喩ではあるけど、景色が浮かんでくるような表現だなと思います。


そこから静かな雰囲気は一変して、バンドの演奏が加わって賑やかになってきます。

 


風と稲穂の指定席へ座る
上映間近のアカネ空
半袖じゃちょっと寒くなってきたな
待ちぼうけいつも僕の方だ

 

”アカネ空”という言葉に”上映間近”という言葉をくっつけたのは、めっちゃ秀逸ですよね。”指定席”という表現もそうですけど、映画が始まる前みたいに、”アカネ空”が空に現れるのを待っているのでしょう。

 



灯りが落ちてストーリーを探す
おかしいな!?夜は暗いままだ
気付けば僕と君しかいない
風と稲穂のその中で

 

スクリーンに何度もたずねてみれば
小さな声で「君の出番だよ」

 

”僕”が待っていたところに”君”がやってきて、灯りが消えて、次第に暗くなってきます。それで”僕”は、何かロマンチックなことが起こることを待っています。

 

映画のワンシーンが始まるように、劇的な展開を待っている…先程の歌詞を繋げると、”アカネ空”の上映を待っている場面でしょうか。しかし、そんなことも起こらないまま、時間だけが過ぎていきます。

 

そこで”僕”は気付くわけです…自分は映画の上映を待っている”観客”なのではなく、自分自身がこの物語の主人公なのだと。

 



主役が君と僕の脇役のいないストーリー
少しだけ勇気を出した 頼りない声しぼって

 

”主役が君と僕の脇役のいないストーリー”という言葉が、何とも素敵ですよね。何かが起こるのを待っていた、まるで映画の次の展開を待っていた”僕”や”君”こそが、その物語の主人公だったのだと。

 

そして、”少しだけ勇気を出した 頼りない声しぼって”という表現…自分のセリフによって、この物語を動かしていく、という風につながっていきます。

 

…という風に読んでいくと、一つの情景としては、”僕”が”君”に恋の告白かプロポーズをしている、という場面が思い浮かんできそうです。他人任せ、何か任せにするのではなく、物語を自分の想いを、自分の言葉で相手に伝えることで、この物語を動かそうとしているのでしょう。

 


■ただ、最後まで歌を聴いていくと、最後のクライマックスは、何か少し違うことを歌っているのかなとも思うんですよね。

 


約束しよう僕らは それぞれの地図を持って
旅立つ事はきっと さよならなんかじゃなくて
いつだって主役は君と僕で 期待とプライド背負って
主役は君と僕で それぞれほら違うストーリー

 

結局どうなんでしょうね、最後の歌詞は、別れの場面にも読み取れなくもないです。ここで”僕”と”君”は離れてしまい、”僕”と”君”はそれぞれ自分の物語の主人公として生きていこう、と約束しあう場面として読み取れる気がします。

 

だから、ここを起点にこの歌を考え直してみると、”僕”と”君”は”風と稲穂”の場所で、お別れをしたのかも知れません。想い合っている2人は、離れてお互いを想いつつも、自分の物語を大切に生きていこうと。

 

だから、どっちとも取れそうな気がしますが、こういう曖昧な感じも、何か不思議な余韻を感じます。

 

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PVについては、現在では広島で活躍されている、ローカルタレント(俳優?モデル?)のさいねい龍二さんが出ています。ちなみに、GOING UNDER GROUNDのメンバー5人が、PVのどこかで出ています。

 

このPVの物語についても、【トワイライト】の歌詞の物語と重なる部分がありますね。このPVも印象に残っていて、この時代には珍しい(?)、ドラマ仕立てというか、物語PVの走りだったのかな、とも思います。

僕が暮らすこの街では いたずらに時を捨て去り

ALRIGHT

 

新しい歌

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■新しいアコースティックギターを買いました。

 

 

ひとまず、左のギターがこれまでずっと使っていたギターです。確か、僕が中学3年生の時だったと思うんですけど、突然父親が買ってきたものです。前のギターはMorrisのギターでした。ギターの型などについては、今回ギターを新調するのに改めて調べたほど、全く詳しくないのですが…MD-251Nというギターだったようです。

 

もう20年以上も使っていて、フレットはすり減りまくってビリビリ鳴るし、ボディはぶつけまくって穴が空き、ささくれまくっているし、手垢まみれよごれまみれで見た目ももうよくありません。

 

そのギターから、今回ついに新調に至ったのは、仕事場の同僚がギターを始めたい!と言うもんだから、じゃあついでに自分もギターを新しく買い換えよう!と思ったという経緯もあったのですが、ずっと買いたいとは思っていました。

 

ということで、自分とその同僚に加え、もう1人…何と音大でギターを専攻して勉強していたという同僚にも付き添ってもらい、3人で楽器店に行ったのでした。

 


■そして、右が新しいギターです。国産ギターとして有名なK.Yairiのアコースティックギターになりました。型はSL-PF2 VSB、お値段は14万8000円という感じです。

 

楽器店に行くまでに、自分なりに調べていく中で、漠然と国産メーカーのギターが良いなぁと思い、いくつか頭の中に欲しいギターを思い浮かべていましたが、あとは行って試奏してみて決めようと思っていました。

 

確か、5本くらい試奏したと思いますが、まぁ初心者というわけでもないし、2本目のギターで、ある程度は良いものを買おうと思っていたので、予算を10万円前後で見積もっていたのですが…まぁ色々弾いてみて思ったのは、直感的に高い値段であるほど音が良いなと感じました。とにかく高いものは間違いはなさそうだなと。

 

その中で、今回選んだK.Yairiのギターの音が気に入りました。試奏したギターの中で、K.Yairiのギターの音が、表面からではなく、しっかりと中から鳴っているという感じがして、一味違うと感じました。僕は、もともとジャンジャカ鳴らして弾き語りをすることが多いので、そういう意味でもK.Yairiのギターの音が自分にとって合っていると思ったのです。

 

(ギターに詳しい方、僕のチョイスはどうだったんでしょうか?良かったら、ご意見をお聞かせください)

 


■ということで、その新しいギターの話もしたいところですが、今回はいつにも増して、自分の古い話、パーソナルな話が主になってしまっているので、予めご了承ください。

 

さて、前のMorrisのギターに話を戻しますが、さかのぼること僕が中学3年生の頃ですが、そのギターを買ってきた父親は、その当時もうすでに病魔に侵されていました。まだ自分が子どもだったので詳しくは両親も語らなかったのですが、どうやら肺ガンだったようです。

 

ただ、自分が中学生の頃に父親は入院して、肺の一部を切除して、痛々しい縫い目を身体に残して家に帰ってきました。

 

そこから、何年間かは社会復帰を果たして仕事に戻ったのですが、結局ガンが転移し始め、最終的に僕が高校3年生になる頃に亡くなってしまったという感じです。

 

父親がギターを買ってきたのは、一旦は社会復帰をしていた頃だったのですが、その頃は何も思わなかったけど、ギターを買ってきたことについて、今思えば何か父親も思うところがあったのかもしれません。生前の父親は音楽が好きな人だったのですが、買ってきたアコギ(フォークギター)を、父親自身が弾いている姿を見ていました。最初の頃は、僕自身も父親に教えてもらった部分もありました。

 

いわゆる、今ではオールディーズと言うんでしょうか、父親は特にTHE BEATLESが好きだった記憶がありますが、日本のフォークソング全般に精通しており、何か分厚いフォークソング集みたいなものを買ってきて、色んな曲を弾いていました。

 


■ということで、ほとんど父親の形見となってしまったギターですかね。一向にうまくならないまま、それでも20年近く同じギターを使い続けてきました。

 

高校生の頃には、息巻いて軽音部に入ったは良いけど、自分が持っていたのはアコギだったので、なかなかバンドを組むまでは行かず、教室で独りアコギの練習をしていました。

 

大学生になってからは、これでも結構精力的に活動しました。大学に、弾き語りサークルというのがありまして、これが自分のやりたかったものだ!と思い、そのサークルに入って、同じ想いの仲間たちと活動を始めました。その頃には、もう一通りのコードは弾けるようになっていたので、ある程度サークルの仲間や先輩とも話が合い打ち解けて、すぐにライヴにも出させてもらったりしました。

 

大学3年生の頃には、サークルの部長を務めました。学内の自主ライブはもちろんですが、地域のお祭りや障がい者施設でのボランティアなど、外部の活動にも裾野を広げることができ、色んな経験をさせてもらいました。

 

そして、社会人になってからは、もうライブなどはすることはなくなりましたが(路上ライブなんかはやってましたが)、気が向いたときにギターを触っては、オリジナル曲を作ってYouTubeにアップするなどの活動は続けていました。

 

そう言えば、一度だけバンドを組んだことがあるんですけど、これも楽しかったです。自分が仕事を辞めてた頃があるんですけど(20代後半)、その時期にバンドを組んで活動してました。バンドを組むことはずっと憧れていたので、めっちゃ嬉しかったです。バンドメンバーの協力もあって、バンドのオリジナル曲を作れたのが一生の宝物です。

 


■そうして現在に至るわけですが、ここ数年はやっぱり仕事も忙しくて、極端にギターを触る時間や音楽をする時間は減ったと思います。音楽を聴く時間は、それでも車を運転する時間で確保しているのですが…。

 

ただ、一昨年から去年くらいにかけて、またちょっとギターとか練習したいなぁと思い始めていまして…自分は本当に趣味という趣味がなく、何かに特にお金を使うこともないし、まぁじゃあどうせなら、ずっと続けてきたギターを少し再開してみますかと、思っていたんです。

 

そうして、今回のギターの新調に至ったわけです。ギターを弾いている歴だけは長くなっていますが、そもそも自分が何かを極めたという経験のない、何をやっても続かない不器用な人間なので、ギターも一向にうまくならないまま、ここまで来てしまったので、改めて練習したいと(今は)思っています。まぁ、およそ15万円のギターを買ったので、宝の持ち腐れにならなようにしないと、と思っています。

 


■ということで、弾き語りの目標をどうしようかと考えていたのですが、とりあえず今は、これは僕自身の完全な好みと憧れで、秦基博とBUMP OF CHIKCKENの弾き語りでいけそうな曲を練習しようと思っています。

 

特に、秦基博の曲をしっかり弾き語ることができればかっこいいだろうなと、ずっと憧れています。ただ、秦基博の場合は、ギターも難しいんですけど、それよりもボーカルがめちゃくちゃ難しいんですよ。あの、”鋼と硝子でできた声”と称される、力強くも繊細な声は、なかなか上手には歌えません。まぁ単純に高音域なのが一番の要因なんですけどね。

 


例えば、僕が秦基博で一番好きな曲で、【新しい歌】という曲があります。

 

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ギターの弾き語りだと、めっちゃ映えるだろうなぁと思う曲の中の一つでもあります。まぁ、秦さんの曲は、どれも弾き語りでやっても映える曲ばっかりだと思うんですけどね、【鱗】しかり【ひまわりの約束】しかり。

 

でも、この【新しい歌】がめっちゃ好きなんですよね。もうとにかく、サビの高音がもう気持ちいのなんのっつってね。これが上手に歌えれば、かっこいいだろうなと思う代表格の曲です。

 

ギターの方はね、すごい難しいわけではないんですけど、やっぱり慣れないと弾きにくかったりします。僕自身、単純なコード進行についてはある程度弾けるとは思っているんですけど、ちょっと変わったコードとか、アルペジオなんかが入ってくると、途端にぎこちなくなってしまいます。

 

だから、その辺を上手に弾けるようになるのが、当面の目標ではあります。あとは、自分の根気が続くかどうかの話ですけど…何せ、15万円のギターですから、頑張って練習します!