■当然のことながら、人によって”憧れを持つ人物”は違うものだと思います。自分が打ち込んでいること…スポーツや趣味や仕事など、自分が興味を持っていることを極めている上級者やプロの方などに、結局気持ちが向くことが多いのだと思います。
僕自身も例外ではなく、例えば僕は歌うことが好きなので、必然的に歌を歌うことが上手な人には憧れを示します。まぁそもそも、自分と比べること自体が、その方々に失礼ではありますが…。
例えば、以前の記事で紹介したB'zの稲葉浩志さん。
高い声が出るとか、音程を外さないとか、パワフルだとか…色々うまい要素を兼ね備えていますが、ボーカリストとしてとてもストイックな方だということは有名ですよね。自分の中で、子どもの頃に熱心に聴いていた頃から、やっぱり他の歌手とは一線を置いて特別なボーカリストだなと思っていました。
例えば、コブクロのお二人。特に、黒田さんの声が好きです。
大学の時、音楽のサークルに入っていて、時々コブクロもカバーしたりしていたのですが、それが縁でコブクロもハマって聴いていた時期がありました。
例えば、女性ボーカルだとSalyu。
いつか、Salyu単体でも記事を書きたいと思っているのですが、女性ボーカルだと一番好きなボーカリストですね。小林武史さんをして、「天に向かい地に響く声」と評される、まさに天性の歌声です。
例えば、藍坊主のhozzyさん、MARSBERG SUBWAY SYSTEMの古川貴之さん、元NICO Touches the Walls・現ZIONのボーカルの光村龍哉さん、PRIDOTSのタカハシコウキさんなど…
言い出せばきりがないですけど、自分が好きなボーカリストがたくさんいます。
そういう括りの中でも、一番好きなボーカリスト…自分がこういう声になりたい!とダントツで憧れるボーカリストが、スピッツの草野マサムネさんと、秦基博さんです。
■スピッツは、別ブログ”スピッツ大学”を見てもらうと分かると思いますが、僕が小学生の時にハマって、それ以来ずっと聴いてきたので、もちろん大好きなんですけど、今となっては…何ていうか、別にスピッツばっかり聴いているわけでもないですが、色んなアーティストの音楽をたくさん聴いても、結局ここに帰ってくる、原点というか実家というか、そういうものになっています。
一方の秦基博さんも、これは僕が大学生の時に、確か世に出てきて話題になったと記憶していますが、その頃に聴いた時にはもうすでに、「ああ、良い声だなぁ」と感動していました。
自分にとっては、【鱗】が強烈に残っていて、”鋼と硝子で出来た声”と評される彼の、時に力強く・時に繊細で美しい歌声にそれから魅了され続けています。そこから、秦基博さんの音楽も、何だかんだずっと追ってきました。
■そんな、自分にとって憧れのアーティスト…スピッツの草野マサムネさんと秦基博さん…このお二人のコラボレーションが、今回なんと実現したんです!
ちょっと詳しく話をしますと、秦基博さんは2024年11月20日に、初のコラボレーション・アルバム『HATA EXPO -The Collaboration Album-』を発表しました。
その名前の通り、コラボレーション・アルバムということで、その収録曲のすべてが、秦基博さんと他のアーティストのコラボレーション楽曲になっています。収録曲を紹介しますと、以下の通り↓
01.秦 基博×草野マサムネ 「ringo」
02.秦 基博×sumika 「ハローサーリアル」
03.秦 基博×TOMOO 「青葉」
04.秦 基博×又吉直樹 「ひとり言」
05.秦 基博×リサ・ローブ 「Into the Blue」
06.秦 基博×ハナレグミ「No Where Now Here」
07.back numberと秦 基博と小林武史 「reunion」
08.土岐麻子 & 秦 基博 「やわらかい気配」
09.ストレイテナー×秦 基博 「灯り」
10.KAN+秦 基博 「カサナルキセキ」
しかも、収録されている楽曲は従来からあった曲ではなく、全てちゃんとコラボレーション用に作られた曲になっています(既発曲はありますが)。ラストに、2023年に亡くなったKANさんとのコラボレーション楽曲【カサナルキセキ】が入っているのも、何か胸に来るものがあります。
…という風に、付け焼刃的にアルバムを紹介しているんですけど…すみません、実際は1曲目の秦 基博×草野マサムネ 「ringo」しか、ダウンロードして聴いていません。やっぱり、自分が大好きな草野さんとのコラボレーションはどうしても気になったので、これだけ真っ先にダウンロードして聴いています。
ということで、この【ringo】という楽曲だけでも、自分なりに少し紹介してみようと思います。
■改めて、【ringo】という曲は、秦基博さんとスピッツの草野マサムネさんのコラボレーション楽曲になっています。
そこで、これは全く個人的に思ったことなんですけど、秦さんと草野さんのコラボレーションということで、僕はもっとアコースティックな楽曲をイメージしていました…というより、期待していたという言い方の方が正しいかもしれません。
だから発表された曲を聴いた時に、良い意味でも悪い意味でも、その期待を裏切られました。悪い意味で言えば、単純にもっとアコースティックな曲が聴きたかったなという気持ちがあって、良い意味で言えば、その意外性に驚いたという点でしょうか。
ただ、冷静によく考えてみると、こういう突き抜けた明るさを備えた曲…それはもう”かわいい”という形容詞がひっつくまであるような楽曲を、おじさん2人が歌ってもちゃんと成立しているところが驚きですよね。ちなみに2024年現在、秦さんは44歳、草野さんは56歳…足したらちょうど100歳じゃん!チーム・ハンドレッドとでも名付けましょうか笑
何ていうか、大人2人が音楽で本気で遊んでいる感とでもいいましょうか、どこまでも自由で、それでいてちゃんと成立していて、しかもしっかりお二人それぞれの個性も感じられる、素敵なコラボレーションになっています。
スピッツでも、最近の曲では、単純なバンドサウンドにプラスアルファされたような曲も多くなってきましたが、それでも【ringo】はスピッツの楽曲には決してないような、派手さと自由さを感じる曲になっています。やっぱりロックというより、これはポップミュージックですね。この辺はやはり、秦さん作曲によるところが大きいんですかね。
■そして、一番自分が気になっていたのは、作詞作曲はどうなっているんだろう?というところでした。
クレジットを見てみると、作詞:秦基博・草野正宗、作曲:秦基博、となっています。確かに、そう思って聴けば、メロディーの方は、スピッツっぽくない(つまり草野さんっぽくない)感じはします。うまく説明はできないですけど、この辺は長くスピッツを聴いてきた僕自身の勘もありますが、クレジットを別に読まなくてもスピッツっぽくない気はしていました。
一方の歌詞については、これは個人的には、草野さんっぽい気がしていました。
*
しょぼい人生のありふれた遊歩道で
巡り会ったんだ 珍しい光に
*
*
壊れそうにシャイで 強がりなココロが
選び取ったんだ 楽じゃない誘惑も
*
この辺りは、何となく草野節のような気もしますが、どうなんでしょうかね。
…と思って聴いていたのですが、どうもAメロの歌詞(上記の歌詞など)は、秦さんが作ったみたいですね。全部がそうであるかは分かりませんが、でも”しょぼい”とか”珍しい光”とか、結構草野さんがチョイスしそうな言葉だなぁと思っていたので、秦さんが作ったとなると、意外ですよね。
ただ、歌詞のストーリーとしては、結構草野さんの世界観によるところが大きいような気がします。
スピッツの楽曲で言うと、【恋する凡人】とか【恋のはじまり】とか、何ていうかボーイミーツガール系の物語とでも言いましょうか。要するに、”しょぼい人生”が恋愛の力によって、キラキラしたものに変わっていく様子を描いた歌詞になっています。
そして、”林檎”という歌詞が出てくるサビの部分…
*
真っ赤な林檎を カプリとかじった八重歯の痕が
ズキズキ キラキラ
Darlin' Darlin' きいてよ 最初で最初のことば 二文字だ
はち切れそうだ ハートが
笑っちゃうくらい 高鳴ってる
*
もうどこまでも、かわいらしい歌詞ですね笑 ”カプリ”とか、”ドキドキ”や”キラキラ”など、こういう擬音を多用するような曲は、草野さんの歌詞であるならば、珍しいような気がしますが、どちらが書かれた内容なんでしょうね。
ただ、サビを読んだ限りだと、曲名にもなっている”ringo”(林檎)とは、おそらくこの歌で恋に落ちた主人公の心を表していて、恋に落ちた様子を、”カプリとかじった八重歯の跡が ズキズキ キラキラ”という風に表現されているんだと思います。こういう歌詞の感じ…恋に落ちたことを、直接表現するのではなくて、何か別のものに置き換えて歌うようなことは、結構草野節だと思うんですけど、どうなんでしょうね。
■そして、やはり素晴らしい、二人のボーカルのコラボレーション。これについては、ただただ感動でしかないです。もう、耳が幸せです。
まるで掛け合うようにAメロは交互に歌っていたり、サビでは一方が主旋律を歌って、もう一方がハモるという贅沢なアプローチ…と思っていたら、ところどころユニゾンしているところもあったりして(最後のサビとか)、面白いです。
個人的には、決して2人の声質は似ているとは思わないんですけど、だからこそ2人のボーカルがそれぞれを引き立てていて、めっちゃ聴き心地が良いです。
そして、かわいらしいけど、謎MVです。スピッツファンからしてみると、林檎と女性となると、【遥か】のMVを思い出させますが、その辺りどうなんでしょう。